鎮魂歌を聞く前に act.3
横浜海洋大学、学食前。 食券の券売機を前に、探偵三人組は立っていた。 三人と言っても、そのうちの1人は探偵の皮を被った怪盗で、もう1人はハタから見ればまだ幼い小学生である。
「A定食がしょうが焼きで、B定食がミックスフライ。C定食がから揚げか。どれもボリューム満点やなぁ。あとは、丼ものにラーメンにそばか。メニューはわりに充実しとるけど、問題はウマイかどうかっちゅうこっちゃな。学食だけあって、ずいぶんと財布に優し い金額やし。」 「・・・・・・結局、お前、食べる気、満々なんじゃねーかよ。」 小さな名探偵が呆れ顔でそう言うと、西の高校生探偵は「うっさいわい」とむくれた。 「おい、工藤。お前、何、食う?」 券売機に届かない小さな体を気遣って、服部が聞いた。 無論、“工藤”と呼んだその声は、白馬には届かないくらいの小さな声だが。 「・・・オレは別に。腹も減ってねーし。・・・そうだな。アイスコーヒーで。」 「よっしゃ。」 服部は1000円札を投入し、アイスコーヒー、そしてカレーライスの食券を購入した。 「ま、どんなトコでも大概、カレーとラーメンくらいはハズさへんってのが道理やからな。」 ウインクしながら食券を翳す服部を、どうでもいいという風に小さな探偵は溜息を零した。 その間を割って、白馬が券売機に小銭を投入する。 彼が押したのは紅茶だった。 「紅茶だけ?何も食べないの?」 お子様口調でそう訊ねてくる小さな名探偵に、白馬の顔をした怪盗は笑顔で答える。 「実は、ちゃんとした食事よりもデザートが食べたくてね。あとで購買部に寄らせてもらって、アイスでも買うことにするよ。」 白馬のその返事に意外そうな表情を作った小さな探偵を、服部が呼び戻した。 「───ほんなら、オレはカレーをもらってくるついでに、アイスコーヒーと紅茶も取ってきたるから。お前らは適当に席をとっといてくれへんか?」 「わかりました。あ、すみません。僕は甘党なんで。ミルクと砂糖もたっぷりもらってきてください。」 にっこりと笑顔を1つ、白馬はテーブルの並んでいる方へスタスタと歩き出す。 「はぁ?たっぷりって・・・。1つじゃ足らへんのか??」 「・・・・・服部。オレは、ミルクも砂糖もいらねーから。」
一緒に行くべき小さな名探偵は、すぐには白馬に続かず、少しの後姿を見つめていた。 「・・・工藤?」 トレイを持った服部が、不思議そうに振り返った。 小さな探偵の眼鏡の奥の瞳が僅かに細められる。 「・・・・・・アイツ───。」 「ん?白馬がどうかしたんか?」 「・・・いや、何でもない。」 何かひっかかっていそうな物言いで、そのまま小さな名探偵は走っていく。 トレイを抱えたままの服部は、わけがわからないといった様子で見送るだけだった。
テーブルの間を駆けて来る小さな少年に、すでに座席を確保した白馬は手を振って合図した。 何とも微笑ましい光景である。 白馬の向かいの椅子に腰掛けた小さな名探偵は、その瞳を光らせた。 こういう目をしている時はやばい、と白馬の面を被った怪盗はよく知っている。 「───ねぇ。」 にっこりと、だが、人の悪そうな顔をしながら、小さな名探偵が話しかけてきた。 「何かな?」 けれども、あくまで白馬を演じるキッドは、これまた人の良さそうな顔で笑った。 「事件の調査を依頼されたのなら、依頼人との連絡用の携帯も支給されてるはずだよね?だけど、さっきから、全然そっちに依頼人からの電話が入らないじゃない?どうして?」 ───服部のところにはあるのに。 そう言いたげな瞳で白馬を見つめる。
確かに、毛利探偵と二人一組でこの調査に乗り出した小さな名探偵は別として、事件に関わる探偵ならみんな、依頼人とのホットラインを持っていなければならないだろう。 だが、当然のことながら、キッドと依頼人にホットラインがあるわけがない。 ついでにいうと、その連絡用の携帯のレプリカさえ用意はしていなかった。 何せ、いきなりこの件に関わると決めたキッドである。 時間的にも、VIPのフリーパスIDを用意するまでが精一杯だったのだ。 ───ま、それについては、適当に誤魔化そうと思ってたんだよね。 イタイところをついてきた小さな名探偵に、やはり正体は見破られていたかと、キッドは内心、苦笑する。 しかし、まだここで認めるわけにはいかない。
白馬の皮を被った怪盗は、にっこり笑みを作った。 「このフリーパスIDにはGPSが組み込まれているからね。僕らが一緒に行動していることは、依頼人には一目瞭然。僕か服部君のどちらか一方に連絡すれば、僕らに用件は伝わるからじゃないかな?」 実際、依頼人はGPSにより東西の高校生探偵が、行動をともにしていることは把握していた。 だが、白馬(いや、実際は怪盗キッドなのだが)の存在については。 GPSのついていない、ただのフリーパスIDを装着しているのだから、依頼人がモニタリングの仕様がないのは当然だった。
小さな名探偵の眼鏡がキラリと光る。 「じゃあ、今度はそっちに電話がかかってくるかもしれないね?」 ───本当に依頼人とのホットラインを持っているならな? およそ小学生には程遠い、小意地悪そうな笑顔はそう語っていた。
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「・・・マズっっっ!!何や、このカレー!小麦粉だらけやんけ!」 カレーライスにアタリハズレはないと踏んだ読みもむなしく、服部は学食に響き渡るほどの音量で、そう叫んでいた。 学食のおばさんの耳に届いたら、かなり失礼な暴言である。 しかし、そんなことはおかまいなしに、小さな名探偵は早速、白馬へ話を切り出した。 「───で、伊東末彦ってどんな人?」 「伊東は今年の4月4日、馬車道で起きた現金輸送車襲撃事件の犯人として、指名手配されているようだよ。」 「なるほど。だから部室から写真を外されたんだ・・・。」 すっかり探偵モードな小さな名探偵の横で、忙しそうにカレーを口に運びながら、服部も耳だけは白馬の話に傾けていた。 白馬の顔をした怪盗は、さらに雄弁に語る。 必要な情報提供は惜しまないと言った風に。 「興味深いのはそれだけじゃない。彼は大学を卒業後、投資顧問会社を経営していたんだが、その会社、『ファーイーストオフィス』でも殺人事件が起きてるんだ。」 「何っ?!」 思ったとおり食いついてきた小さな探偵に、白馬の皮を被った怪盗はニヤリとした。 「どうだい?興味深いだろう?」 わざと興味をそそるような言い方までして。
「よっしゃ!早速行ってみようやないか!そのファーイーストオフィスっちゅう会社にな!」 マズイと豪語しながらも、結局、カレーを完食した服部がそう言い出すのは、当然の流れだった。
そして、一向がファーイーストオフィス前に到着したのは、もう日も傾き始めた頃。 「禁じられると」 「入ってみたなるんが」 「探偵のサガ」 いや、実際のところ、それは“探偵”だけでなく“怪盗”のサガでもあったりするのだが。 そんなことを心で唱えつつ、白馬の顔をした怪盗は、東西高校生探偵とともにオフィスの中へ入って行った。 そのまま西尾氏の殺害現場へと向かう。 先頭を行く白馬は、階段を上りながら手帳を片手に言った。 「殺害されたのは西尾正治。ファーイーストオフィスの営業部長。ライフルで狙撃されたらしい。社長の伊東とは大学時代の同級生。」 「───ってことは・・・。」 名探偵が顔を上げたのと同時に、服部も口を出す。 「西尾も犯罪研究会におったんとちゃうか?」 「───ご明察。」 白馬は肩越しにニヤリと笑って見せた。 そして階段の踊り場で、小さな名探偵の目線に合わせるために片膝をつく。 「来たまえ。」 言いながら、どこからともなく携帯電話を取り出した。 こっそり拝借しておいた服部のものである。 「来たまえって・・・。おい!それ、オレの携帯やないかっ!いつのまに───」 「見たまえ。」 服部のつっこみを遮るように、白馬は携帯を捜査してデータフォルダの中に保存された一枚の写真を画面に表示させる。 先程、服部に犯罪研究会のメンバーの写真を撮らせたのは、このためだ。 「この写真の最前列。中央にいるのが、当時、部長だった伊東 末彦。その右隣が殺害された西尾だよ。」 だが、小さな名探偵は西尾とは逆サイドにいた女性に目が行ったようである。 実際、事件の核心に迫るのはこの女性の方だ。 「ねぇ、伊東さんの左隣の女の人は?」 「ああ、その女性は清水 麗子。彼女もこのオフィスに勤めてたらしいけど、5月15日に自殺しているよ。」 「え?!」 「自殺やと?!」 ───ま、表向きはね。 そうは言わずに、白馬の顔をした怪盗はニヤリとした。 「警察から任意の事情聴取を受けていた期間中にね。」 「西尾の射殺事件のことでか?」 「かなりきつく取り調べられたらしいよ?」 鼻で笑った風に言うその白馬の台詞には、弱冠、キッドとしての嫌味も込められている。 容疑者と思しき者に対して、警察の取調べは容赦ないものであることを示唆して。
「ここがその狙撃事件の現場。」 白馬は西尾氏が殺害された一室に、東西高校生探偵を案内した。 血塗られたままのその部屋を、探偵たちは見渡す。 「少しほこりを被ってるけど・・・。」 「・・・事件当日のまんまみたいやな。」 「まぁ、その時は、このブラインドも窓も開いていたみたいだけどね。」 そう言って、白馬はブラインドを上げた。 一瞬にして、窓から夕日が部屋に差し込む。 そして、窓の向こうに見えるビルを白馬が指差した。 「あのビルのトイレだよ。犯人が西尾を撃ったのは。」 白馬の台詞に、残りの二人が注目する。 「使用した銃はチャーターアームズAR7。スコープ、そしてサイレイサー付き。そのトイレに落ちていたらしいよ。8発分の薬莢がね。犯人は装弾数である8発の弾丸を撃ちつくし、その中の1発が西尾の後頭部に命中。即死だったらしい。その後、西尾の机から、伊東の書いた現金輸送車襲撃の計画書が見つかった為、生き残った伊東が指名手配されたってわけさ。」 要するに、西尾氏射殺事件から現金輸送車襲撃事件は足がついたのである。 全くもって、完全犯罪には程遠い話だと、白馬の顔でキッドは内心思っていた。 話を聞き終わった服部が、口を挟む。 「───ほんで、清水 麗子は何で取調べられたんや?」 「さぁ?そこまでは───。」 わかってはいるが、それをここで教えてやるわけにはいかない。 白馬の皮を被った怪盗は、敢えてとぼけた。 一方、小さな名探偵は、すっかり黒ずんだ血痕の傍に立ち、小難しい顔をしている。 「───見ろよ、服部。後頭部を撃たれたわりには、出血が少な過ぎねーか?」 「そやな。その代わり、こっちにはでっかい血のシミがあんで。」 2つに分かれた血痕を見比べていた小さな名探偵は、その後、西尾氏が座っていたと思われる椅子に目をやった。 椅子の背もたれにもおびただしい血の跡が残っている。 「・・・・・・椅子についた血痕が、座面に向かって真っ直ぐに垂れている───。」 「おまけに見てみぃ。椅子のキャスターが撃ち抜かれて、1つ取れてしもうてる。」 それらが意図することは何か。 白馬の顔をした怪盗は、探偵たちが目の前で事件を紐解いていく様子を面白そうに見ていた。 「───なるほど、そういうことか。」 「そういうこっちゃな。」
───さて、ここまではわかってもらえたかな? 夕日を背に、怪盗がニヤリとした瞬間だった。 服部の携帯が鳴る。 依頼人からのホットラインだ。 『次のステップへ進んだようだね、服部君』 「ああ、何とかな。」 『解決して欲しい事件が分かったかな?』 「西尾正治氏の射殺事件やろ?」 『───ああ。』 憂いを帯びた依頼人の声に、服部は続けた。 「おい、まさかアンタの正体───」 だが、直後に電話は切られる。 しかし、確認するまでもなく、依頼人が誰かということはほぼ、この時点で確定した。
その時である。 ガッシャーンと、ガラスが砕け落ちる大きな音が響き渡った。 同時にエンジン音。 「何やっっ?!」 「バイク?!」 「いい展開だけでないのは、確かだね。」 白馬は苦笑する。 ───まさか、ここにも奴らが現れるとは。 その間にも、バイクのエンジン音が近づいてくる。 とにもかくにも、こんな乱暴な仕方で侵入してくる連中が友好的なわけがない。 危険を察知した一向は、その部屋を脱出した。 猛ダッシュである。 だが、相手がバイクでは、追いつかれるのも時間の問題だった。 明らかに武装していそうなそのバイクの連中を振り返りながら、服部が言う。 「何や?コイツら?!」 そんな服部を、白馬は笑った。 「ゲームを面白くするってやつなんじゃないのかな?依頼人が言ってた───。」
無論、依頼人はそんなことは言っていない。 だが、このゲームのプレーヤーはまだ他にもいるのだ。 本当の意味で事件を暴かれては困る連中が。
「・・・オモロ過ぎるで。」 迷惑そうな顔で服部が返す。 そのすぐ後ろにまでバイクの連中が迫っていた。 と、小さな名探偵が叫んだ。 「このままじゃマズい!二手に分かれよう!!」 「よっしゃ!」 「わかった!」 提案に従って、早速、服部が1人、別のルートを行く。 上手い具合に、東西高校生探偵が別々なルートを選んでくれたおかげで、外見だけ白馬のキッドは、ごく当たり前のような顔をして、同じく外見だけ小学生の工藤 新一についていくことにしたのだった。
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二手に分かれた作戦により、乱入して来たバイク二人組みも当然二手に分かれることになる。 服部が1人で応戦することを引き受けた結果、小さな名探偵と白馬のペアの敵も1人となった。 とはいえ、相手はバイクという足があり、しかも銃を持つ相手なので、さぼど有利とも言えないが。 切迫している状態だからなのか、小さな名探偵は白馬の顔をしたキッドが一緒についてきても、特に何も言う事はなかった。 ───とりあえず、ついてくるなとは言われてないし。 キッドは自分の前を行く小さな背中を見て、ニヤリとした。 と、その小さな手がドアにかかり、1つの部屋へと駆け込んだ。 薄暗い倉庫のようなその部屋には、ペンキの缶が山積みである。 それで何かを思いついたのか、小さな名探偵は振り向き様、攻撃体勢に入った。 いよいよ阿笠博士の発明品の登場である。 どこでもサッカーボールを射出できるベルトを利用し、恐ろしいまでに増強されたキックでペンキの缶を蹴飛ばした。 派手な音を立てて、雪崩のように崩れたペンキの缶の山に、敢え無くバイク野朗は 埋もれてしまう。 いつもながら、たいしたものだとキッドは思った。 「まいったな。ペンキがシャツに飛び散って台無しだ。」 だが、それ以前に。 キッドだからこそ、上手く避けれたのであって、ヘタをしたら巻き添えを食って、一緒にペンキの山に埋もれていたかもしれないほどの攻撃だった。 もしかしないでも、小さな名探偵の確信犯的行為かもしれない。 そう思いつつ、白馬を演じ続けるキッドは、姿だけは小学生の名探偵に苦笑した。
不意にその眼鏡が光る。 「───お前、その猿芝居、 いつまで続けるつもりだ?」 口調は、まさに工藤 新一そのもの。 先程までのわざとらしいまでのお子様らしさはすっかり消え、正体を現したというわけである。 「何のことかな?」 にこやかに返すが、この期に及んで言い逃れはできないだろうことはキッドも充分承知だ。 「お前、キッドだろう?」 有無を言わさない雰囲気で、小さな名探偵が睨みつけてくる。 と、キッドも白馬の仮面を外し、実に怪盗らしい不敵な笑みを浮かべた。 「───さすがは名探偵。よくお解かりで。」 「よく言うぜ。最初から胡散臭さ丸出しのクセして。お前こそ、オレにバレてるのを知りながら、いい度胸してんじゃねーか。」 「いやいや、それほどでも。」 「───ったく、ふざけやがって。お前の狙いは何だ?何でオレ達と一緒にいる?」 改めてそう問われると、キッドとしても非常に答え難い。 “怪盗キッド”としては、自分の周りをうろつく邪魔者さえ排除できればいいのであって、西尾氏射殺事件の真相など、実はどうでもいい。 明確な目的など、キッドにはなかった。 単に興味本位である。 だが、さすがにそれをバカ正直に言うこともない。 キッドは相変わらず白馬の面のまま、「さて?」とだけ言って誤魔化した。 すると、小さな名探偵は疲れたように溜息1つ、ペンキの缶の山へと目をやる。 倒れたバイクはそのままだ。 「・・・あのバイクの連中、お前を襲ったのと同じ奴らなのか?」 キッドが4月4日以降、仕事場で銃撃戦に遭遇しているという話を警察で聞いていたからこその、小さな名探偵の台詞だった。 案の定、勘のいい名探偵に、キッドはニヤリとする。 「ご名答。住宅街でも平気で銃をぶっ放すような無茶な連中でね。───ま、そういうわけでだ。奴らの始末はオレが引き受けてあげよう。ここは1つ貸しってことで。」 「何だとっ?!ふざけるな!何で、オレがお前なんかに・・・っ!」 貸しを作るのなんて御免だと、小さな名探偵は声を荒げた。 だが、キッドも別に冗談で言っているつもりはない。 「ふざけてるのはそっち。お子様相手だからって、アイツらは容赦しないよ?」 「そんなこと、お前に言われなくてもわかってるっっ!」 「わかってないね。阿笠博士の発明品に頼ったところで、限界もあるだろ。ここは、素直にこっちの言うことを聞いた方がいいんじゃないかな。」 「余計なお世話だ。オレがどうなろうと、お前には関係ないだろうっ!」 小さな名探偵は、吐き捨てるようにそう叫ぶ。
───関係ない・・・か。ま、確かにそうなんだけどね。 キッドもさすがにムッとした。
すると、突然、ペンキの山が崩れだす。 下に埋もれていたはずの男がバイクを起こし、再び襲いかかろうとエンジンをかけた。 それを見た小さな名探偵は、再び、走り出そうとする。 しかし、キッドはその細い腕を瞬時に掴み上げ、名探偵を強引に振り向かせた。 「中身は確かに高校生探偵でも、体はただの小学生だ。無茶すると、イタイ目を見ることになるよ?」 外見はただのガキなのだということを自覚しろと、キッドは言った。 少々、意地の悪い言い方だったかもしれない。 だけど、それは事実だ。
それでも。 小さな手はキッドの腕を乱暴に振り払い、そのままスケボーで部屋から飛び出して行ってしまった。 ───ま、実際、こうなるとは思ったけどね。 工藤 新一のプライドを考えれば、当然の結果だとキッドは思う。 しかし、このまま放っておくわけにもいかない。 「やれやれ、仕方ないな。」 そう苦笑すると、あっという間に白い衣装を身に纏う。 そこに立っているのは、不敵な笑みを浮かべた怪盗だった。
To be continued 弱冠、オリジナルを加えてみたり。 |
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