Heart Rules The Mind

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NOVEL

BISQUE DOLL

act.7

 

屋上へと続く階段の先に、頑丈そうな扉が見えた。

鉄の重い扉を開けて、オレはそれまでの熱気を帯びた空気から一挙に解放された。
さすがにまだ、屋上までは火は回っていない。
が、それも時間の問題のように思われた。

オレはそのまま、フェンスから下を覗いて見た。
ホテルの下には、すでにミニカーのような消防車が数台、停まっている。

・・・騒ぎになってくれたのは、ラッキーだったかもしれない。

オレは消火活動が始まろうとしている様子を上から見ながら、そう思った。

しかし、これだけでは問題解決にはならない。
さすがにホテルの最上階までは、はしご車なんて届かないのはわかりきっている。
消防隊員がここへ駆けつけてくれるまでの時間を稼ぐ事が、果たしてできるのか?
仮に、もしそれができたとしても、途中、ビスク・ドールと出くわさずに脱出できるとは
限らない。

何とかならねーのかよ!!

オレはイライラしながら、辺りを見回した。
しかし、生憎パーク・ハイアットには隣接しているビルなど無く、別のビルへ
飛び移るなど不可能なことだった。

・・・キッドじゃあるまいし、オレはハングライダーなんて装備してねーからな・・・。

なら、壁をつたって下の階に下りる事は・・・?!
オレはフェンスから身を乗り出して、下の様子を伺う。

・・・いや、無理だ。こんな高層では窓が開くところなんてない。
窓ガラスを叩き割るにしても、いくらなんでも素手では・・・。

 

「やめとけよ、名探偵!こんな高さから落ちて、死にたくはないだろう?」

背中越しに、聞きたくなかった声が響く。

オレはゆっくりと振り返る。
屋上の入り口のドアに背を預けて、ビスク・ドールが立っていた。

「・・・ビスク・ドール・・・!」

「いやぁ、驚いたね。まさか奴らがこんなアジなマネをするとはさ。
おかげで、少々予定が狂っちまったけど、まぁいいさ。
・・・名探偵も黒こげにならずにすんだしな。」

赤い唇をつり上げて、笑う。
オレはその様子を息を呑んで見つめていた。

奴はそんなオレを見て、満足そうにそのマリン・ブルーの目を細め、ゆっくりと
近づいてきた。

「こっちへ来い、名探偵。お前はキッドを釣る大事な餌だ。」

ガラス玉のような目が妖しく光り、奴の白い手がオレの方へと伸びる。

 

・・・逃げられない!!

 

オレはぎゅと硬く目を閉じた。
が、次の瞬間、カッと目を開けて、右手を鋭く振りかざし、奴の手を払いのける。

アスファルトに、鮮血が飛び散った。

ビスク・ドールはその瞳を僅かに見開く。
そしてそのまま、血の滴る自分の手を無表情で見つめた。

オレの右手には、さっきバス・ルームからくすねた剃刀の刃が仕込んであった。
それが、奴の手を切ったのだ。

しかし、奴はニヤリと笑い、その手の傷をペロリと嘗めてみせる。

「どうせなら、もっとザックリやれよ。・・・でないと、形勢逆転はできないぜ?
けどまぁ、誉めてやるよ、名探偵。その心意気はな。
が、後悔するぜ?別にお前の腕の1本や2本無くたって、オレは構わないんだからな。
要は、キッドが来るまで生きてりゃ、問題は無い。」

言いながら、奴はナイフを出した。

・・・やばい、本気だ!!

オレは唇を噛んだ。

すると、ビスク・ドールは声を立てて笑う。

「大人しくソイツを捨ててこっちへ来れば、何も手荒な事はしないさ!」

そう言った奴の眼が、残忍な光りを帯びる。
どちらにしても、無傷ではいられないことをオレは悟った。

「・・・さぁ、来いよ、名探偵。痛い思いはしたくないだろう?」

ビスク・ドールの言葉に、オレは背筋に冷たいものが走るのを感じていた。

 

・・・どうしたらいい?!

オレがどんなに逆らったところで、奴の言うとおり、腕でも足でも切られて
結局は引きずられていっちまうしかねーのか?!

そんなことになったら、アイツは・・・!キッドは!!

 

オレの頭に、あのビルで別れたきりの血まみれのキッドの姿が過った。

 

・・・アイツの足手まといになるのだけは御免だ。

それに。

冗談じゃない。こんな奴に利用されるなんて。

 

それくらいなら、今ここで死んだ方がましだ!

 

そこまで考えて、ふと笑いが込み上げる。

・・・ああ、そっか。そうだった。
奴はオレに死なれたら、困るんだ。利用価値が無くなるもんな。

 

だったら・・・!!

 

「・・・何のマネだ?気でもちがったか?」

剃刀の刃を自分の首の方へ持っていくオレを見て、ビスク・ドールが目を見開く。

オレはそんな奴の顔を見ながら、ぴったりと自分の頚動脈に刃を当てた。
ひんやりと冷たい感触が伝う。

「・・・これ以上、お前の好きなマネはさせない!」

オレはそれだけ言って、まっずぐに奴を見た。
一瞬、ビスク・ドールの顔から笑いが消える。
が、しかし、すぐまた人を食ったような笑みをその唇にはり付けた。

「・・・キッドのために死ぬっていうのか?ずいぶんとオトモダチ想いなもんだな。」

 

キッドのため?

・・・そういうわけじゃない。

こんなことだけじゃ、アイツを救う事にはならないのはわかってる。

それでも、このまま好きにされるよりは・・・!!

 

オレは一呼吸置いてから、返事を返す。

「・・・別にアイツのためじゃないさ。これはオレ自身の問題なんだよ。」

「・・・なるほど。名探偵のプライドということか。面白い。じゃあ、死ね!」

赤い唇を歪めて笑う奴をオレはギっと睨んだ。

 

言われなくたって・・・!!

そう思って右手に力を込めようとした瞬間、ビスク・ドールの手からナイフが
放たれたのをオレは見た。

・・・腕に刺さる!!オレは死ぬこともできないのか?!

が!
次の瞬間、シュンと空気を裂く音がし、ナイフは何かに弾かれて、オレのもとへは
届かなかった。

え?!

アスファルトには、ハラリと一枚のカードが舞う。

 

・・・キッド!!

オレはカードが飛んできた方の夜空を振り仰いだ。

 

◆       ◆       ◆

 

「まぁ、そう死に急ぐなよ?名探偵。」

月を背に、ふわりとホテルの屋上へ舞い降りた白い怪盗は
いつものシニカルな微笑みを浮かべながら、悠然とそう言った。

キッドの、そのいつもどおりの立ち振る舞いを見て、オレは思わずほっとしてしまう。
・・・アイツ、無事だった・・・!!

奴と目が合った瞬間、向こうも安心したように、いやオレを安心させるようにか
微笑んだように見えた。

 

「よく来たな、キッド。待ちくたびれたぜ?」

ビスク・ドールはそのガラス玉のような目をキッドに向ける。
キッドはそれには何も答えず、ただじっとビスク・ドールを見つめたままだ。

何も言わなくてもわかる。
キッドが纏っているのは、紛れも無く殺気だった。

ビスク・ドールもそれを感じたのか、ことさらうれしそうに微笑む。

「ここまできて、ジタバタするなよ、キッド。
オレと一緒に来るか、それとも、ここで名探偵と一緒に仲良く死ぬのか
どちらかを選べばいいんだ。」

すると、キッドはトンと屋上を蹴って、宙を舞い、オレの前へとストンと下りた。

「・・・悪いが、どっちもお断りだね。」

そう言ってのけたキッドの横顔を間近に見て、オレは驚いた。
その冷や汗だらけの顔色の悪さに!!

「おいっ!キッ・・・!!」

オレが前へ出ようとすると、キッドは左腕一本でそれを制した。

・・・おい。
オレは、もう一度マジマジとキッドの顔を見た。

具合が悪いのなんて、当り前だ。あんなひどい傷を負っているのに。
ムリしやがって!

オレはそれでも、そんなことを微塵も感じさせないようなキッドの
ポーカー・フェイスを憎たらしく思った。

すると、オレの前に出されたままの左手から、ぽとりと何かが落ちる。
反射的にオレはそれを受け取った。

・・・手榴弾!

オレはキッドを見たが、キッドは前を見つめたままだった。

 

「自惚れるなよ?キッド。」

ビスク・ドールの低い声が空気を凍らせる。

「こないだ、オレが5本同時にナイフを放った時、お前は避けきれずに1本食らったな。
だが、あれは片手で、しかも余裕を持って放ったものだ。
もし、今ここで、オレが両手を使ったとしたら、お前は無傷で通す自信があるのか?」

「ない。」

キッドはあっさり言った。
あまりにもあっさりすぎて、思わずオレはキッドの方を見てしまった。

「まず良くて2本、悪くて3本は食らうな。けど、それでも2発はお返しできると思うぜ?」

言いながら、トランプ銃を構えた。

いつもは威嚇にしか使わないソレ。
でも、使い用によっては、充分な凶器になることをオレも知っている。

ビスク・ドールは沈黙した。
その表情には、いつもの笑みは消えている。

キッドの台詞は単なる強がりではない。
オレには、実際にコイツならそうするだろうという確信があった。

しかし、次の瞬間、ビスク・ドールは肩を震わせて笑った。

「はは・・!大したもんだよ、キッド!!
・・・・・・本当にここで殺してしまうのは、惜しいんだがな!!」

激しい憎悪の色で奴の瞳が光った時、いっせいにナイフの雨が降り注いだ。

キッドはオレを抱え込むようにして、給水搭の影に転がり込む。

抱き込まれた形になって、オレはキッドのシャツに血が滲んでるのを見た。
とっさにオレはキッドのネクタイを掴み、奴を引き寄せる。

「お前っ!!血が・・・!!」

「あらら、傷口が開いちゃったか・・・。」

キッドはまるで他人事のように言う。

「バーロー!!あんな大怪我してるくせに動き回るからだ!!死にたいのか!!」

「・・・死のうとしてた奴に言われたくないね!」

しれっと言われて、思わず、ぐっとつまる。

「あっ、あれは・・・!!」

・・・確かにあの時は本気だったけど。

「・・・もう、オメーが来ちまったんだから、その必要もねぇだろ・・・?」

なんとなく奴の顔が見れなくて、フイと顔をそらした。

キッドはそんなオレを見て、クスリと笑う。が、すぐに鋭い目つきになり、壁の向こうの
まだ見えないビスク・ドールに意識を集中させる。

オレを見ないまま、キッドが言った。

「・・・いいか?名探偵。オレが奴のところへ飛び込んだら、構わずソイツを蹴りこめよ。」

オレは目を見開く。
キッドは、オレに手榴弾で自分ごとビスク・ドールをぶっ飛ばせと言ってるんだ。

瞬間、オレはキッドのネクタイを再び乱暴に掴み寄せる。

「ふざけんな!!お前、死ぬ気か?!」

すると、キッドもギっと目を向いて、オレの胸倉を掴み上げる。

「死ぬ気でやんねーと、アイツには勝てねーんだよ!!」

 

キッドの目は本気だと言っていた。
その強い眼差しに、死を覚悟してここへ来ていることもオレには充分にわかった。

確かにこの絶体絶命の状況では、他に手立てはないのかもしれない。

 

それでも!!

こんなところで終わりにしたくない・・・!!

・・・そうだろ!?

 

オレはキッドをしばらく見つめたまま、やがて言ってやった。
いつも奴がオレに見せるようなあの自信有りげな不敵な笑みを浮かべて。

「・・・何とかなるじゃねーの?オレとお前ならな!」

オレのその言葉にキッドは面を食らったのか、ぽかんと口を開けた。

が、やがて掴んでいたオレの胸倉をゆっくりと離す。

「・・・案外、楽観的だったんだな、名探偵?」

「・・・オメーほどじゃねーよ!」

 

そう言って。

しばしの間、お互いに見詰め合って。

そして、プッと同時に噴出した。

 

「・・・OK!わかったよ、名探偵。やれるだけやってみようぜ!」

ニヤリとキッドが笑った。同じようにオレも笑う。

「・・・なぁ、コレ、もっとねーのかよ?」

手榴弾を軽く放り投げてキッドを見やると、奴は苦笑した。

「・・・あのね・・・。そう簡単に手に入るシロモノじゃねぇって。」

「ふーん。・・・なら、外せねーな!」

「そういうこと。頼むぜ?名探偵。」

「まかせろ!この超高校生級の黄金の右足にな!
そのかわり、オメーも死ぬ気で奴のナイフを避けろよ!!第2波は絶対にオレが
止めてみせるから!!」

オレはまっすぐにキッドを見た。
重なった視線の先の奴の目が、穏やかに細められる。

「了解。がんばりマス!」

そう笑った奴の笑顔が、オレにも自然に笑顔を作らせた。

 

「お別れの挨拶は済んだか?」

壁のすぐ向こうに、ビスク・ドールの声が響いた。
オレとキッドはその声を合図に、その場を飛び出す。

「そんなに別れを惜しまなくても、すぐに2人ともあの世に送ってやるぜ?」

真っ白い陶器のような顔についている赤い唇が不気味に笑う。

オレは、手榴弾をギュッと握り締めた。

 

その直後。

突然、バラバラというプロペラが回る音が空から聞こえてきた。

・・・ヘリ?!
まさか、救助隊のヘリコプターが来たのか?!

・・・いや、違う!!
これは・・・!こいつらは・・・!!

上空に現れた真っ黒なヘリを振り仰いで、オレはそれが救助隊のものでないことを
悟った。

 

瞬間。

轟音と共に熱風が巻き起こり、オレの目の前は真っ赤になった。
次には、視界は何故か真っ白いモノに覆われ、最後は真っ黒な闇に落ちる。

どこかで、キッドがオレを呼ぶ声を聞いたような気がした。

 

 

◆       ◆       ◆

 

 

頬をなでる風が冷たく、心地良いのを感じて、オレは目を開けた。

目の前には、ドアップのキッドの横顔。

「・・・わわっ!!」

驚いてオレが身じろぎすると、キッドがちらりとこちらを向いて笑う。

「暴れんなよ?落とすぞ?」

言われて、初めて自分の置かれている状況を確認する。
どうやら、オレは奴に抱きかかえられて、グライダーで飛行中のようだ。

奴に抱かれているのは気に入らないが、本当に落とされても困るので
オレは大人しくした。

程なくして、とある高層ビルの屋上に着地する。

オレを下ろした途端、キッドは前のめりに倒れたので、後にまわり、奴を
抱き起こしてやった。

「おい!!大丈夫か?!」

キッドはニヤリと笑うと、指でそこへ寝かせろと合図する。
オレはそれに従った。

「・・・ったく、あんな大怪我しててよく動き回れたもんだな。
無茶苦茶な奴だ。」

横たわる白い怪盗のネクタイを少し緩め、シャツのボタンを2つばかり外してやった。
少しは楽だろう。

「・・・名探偵んちのとなりの女の子から、魔法の薬をもらったんでね。
ま、なんとかもったけど、さすがに効き目が切れたかな。」

・・・げ!

「お前っ!灰原に会ったのか?!」

キッドはにっこり頷いて、手当てまでしてもらったなどとほざきやがった。
・・・なんだか、頭痛がしてきたぞ。

ってことは、今回の件、アイツにバレバレじゃねーか。
・・・あ〜。戻ったら、一体何を言われるやら・・・。
また、無鉄砲だのなんだのって、毒舌を浴びせられるんだろうな・・・。

「・・・イヤな奴に借りを作っちまったな・・・。」

 

そして。

オレはパーク・ハイアットの方を振り向く。

ホテル屋上からはどす黒い煙がもくもくと立ち昇っていた。
必死の消火活動が今も続いている。

 

「・・・ビスク・ドールの奴は、どうしたかな?」

「さぁね。アイツ、しぶとそうだからなぁ・・・。」

キッドの言葉にオレも苦笑する。
確かに、アイツがこれで死んだとは、オレも思えなかった。

 

あの時。

屋上に現れた組織のヘリの攻撃によって、あの場所は火の海へと一変した。
すべては、ビスク・ドールを殺そうと奴らが仕掛けてきたこと。

にしても、人1人殺そうとするのになんて派手な事しでかすのやら。

オレは、今更ながらに黒の組織に恐ろしさを感じた。

 

「とりあえず、ここまでおおっぴらに命を狙われたんじゃ、奴もしばらく身を隠すんじゃ
ねーの?大人しく国へ帰ってくれると助かるんだけどね。」

オレも大いに頷いた。
本当にそうしてくれることを願うばかりだ。

 

「よっこらしょ!」

と、キッドが身を起こしたのは、それから数分後のことだった。

「大丈夫なのかよ?」

「ま、あとは帰るだけだし、なんとかなるでしょ。」

青白い顔ながらも、いつもどおりのキッドの笑顔を見て、ようやくオレも安堵した。
途端に、急速に疲れと空腹感に襲われる。

「・・・なんか気が抜けたら、腹、減ってきた。
よく考えたら、昨日の夜から何も食べてねーもんな。」

「あ、オレも。血が足りないし、なんか食ってく?名探偵。」

・・・ホントにふざけた野郎だな。
オレはキッドのそのマヌケな物言いに半ば呆れながらも、笑って言い返してやる。

「んじゃ、オメーのおごりな!」

「え〜?!」

「 『え〜』じゃねーよ、当然だろう?もとはと言えば、今回の事の発端は
オメーにあるんだからよ!」

そうキッパリと言い放つ。
すると、キッドは渋々ながら了承したが、どうも納得できないらしくブツブツ言っていた。

 

「じゃあ、行こうぜ!ほら!!」

そう言って、オレはキッドに肩を貸してやった。

 

「お優しいね、名探偵。」

「・・・今日だけな。」

 

2人で一歩ずつ足を踏み出しながら、オレはふととなりの奴の顔を見た。

 

・・・キッドは、本当に組織に復讐しようとしているんだろうか?

脳裏にあの時のビスク・ドールの言葉がよみがえる。

 

オレの視線を感じて、こっちを見たキッドと目が合う。

「・・・どうかした?」

「・・・いや、何でもない。」

オレは再び前を向いた。

 

今はまだ、聞かないでおこう。
こっちから聞かなくったって、そのうち奴の口から聞ける時がそのうちきっと来る。

そう、オレは思って、追求するのをやめた。

 

ふと、こめかみに暖かく柔らかい感触が伝わる。
それがキッドの唇だとわかって、オレは目を向いて奴を見た。

「ばっ!!て、てめー!!何しやがる!!」

「いや、ケガしてるみたいだから、消毒をね!」

ペロリと舌を出して、そう言うキッドにオレは開いた口が塞がらなかった。

 

まったく。
さっきまで、死を覚悟して潔く戦おうとしてた奴とはとても思えねーな!!

オレはうなだれる。

 

そうして、2人でビルの非常階段を降り始めた。

 

 

空に浮かんだ月がもうだいぶ傾いている。

それはようやく長い夜が終わる事を告げていた。

 

 

 

■ The End ■

 

BACK   

麻希利さまへ・・・・。

えと、長らくご迷惑おかけしまして、やっと今回で完結でございます。
いや、ほんとに長かったですよね、っていうか、私のせいですが。

今回は、新ちゃんにがんばってもらったつもりです。
いや〜、前回のキッドがかっこいいという反響も多くてうれしくもあったのですが、
新ちゃんもかっこよくなきゃ!って思いまして。(笑)

自分的には、実は新ちゃんの方が精神的にはタフなのではないかと、
密かに思っていたりして。いえ、キッドが決して弱いというのではなく。
キッドにとって、新ちゃんが最後の希望の光・・・みたいな。
そんな風に私は思うのでした。

よく考えると、これって私にとって初めてのリク小説だったですね。
日頃お世話になっている麻希利さまにお礼をしようと思って書き始めたものでしたが。

リク小説といえども、書いてるうちにやっぱりどうも自分の趣味に走ってしまう傾向がありまして(苦笑)。
今を思えば、このお話は自分のやりたい事、全部をやってしまったお話でした。
書いていて、本当に楽しかったです。

長いこと、本当にありがとうございました。

ririka

 


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