Heart Rules The Mind

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NOVEL


ピストルと天使 
 ■ 中編 ■

          

 

鏡の前で深々とニット帽をかぶる。
おまけにフレームの小さめなダーク・グリーンのサングラスなんかもかけてみる。

どこから見ても、ストリート系カジュアル・ファッション姿の出来上がりである。

よし!こんなもんだろ!!

鏡の中の自分の姿を確認して、おそらくはこれで知り合いは誰も気づかないだろうと安心する。
普段はここまで着崩した格好はしない。
いつもの工藤新一らしからぬそのファッション・スタイルに、ある意味変装の楽しみなど感じてみたりして。

案外、似合うじゃん、オレ。

・・・なんて思ったりしてしまったのだった。

・・・別に誰かさんとは違って、変装のプロじゃないけどね。

要は、深夜、繁華街をうろつくようなガキに見えればいい。
相手が声をかけてきやすそうな、軽い感じに。

時刻は深夜0時ちょっと前。

・・・さて、そろそろ行くかな。

オレはリュックを片手に、玄関を出た。

うわ!見にくい!!

当り前だが、夜なのにサングラスなんてかけたから視界はすごぶる悪かった。

・・・新宿についてから、かけよう。

そう思って、サングラスをとりあえず外したところで、なんと隣人の少女と出くわした。

「うわ!!は、灰原!!お前、何してんだよ?!こんな時間に!!」

焦ったオレを彼女は冷静な瞳で見つめると、訝しげな表情をした。

「・・・別に。ちょっと外の空気を吸いたかっただけよ。
あなたこそ、こんな時間からどこへ行くの?・・・それにその格好・・・。」

「あ、いや。ちょっと買い物にな。・・・それよりこの格好、どう見える?」

オレは灰原の前でくるりと回って見せると、
彼女は僅かに目を細めてから、至って平然とこう言ってのけた。

「・・・そうね。少なくともどこかの推理バカには見えないわ。」

・・・お前な。(怒)

それでも、一応変装は大丈夫だと言ってもらえたという風にオレは受け止めて灰原にお礼を言った。

 

「・・・また、何かやらかしそうな予感ね。」

「大した事じゃねーよ。じゃあな、子供はもう寝る時間だぜ!」

そう言って、オレはこれ以上、灰原の毒舌を聞くまいと、足早に駅の方へと走った。

 

■     ■     ■     ■     ■

 

オレが歌舞伎町へついたのは、午前1時近かった。
平日のこんな時間なのに、辺りは相変わらず大勢の人で賑わっていた。

徒党組む酔っ払いの男性や、それに絡むホステス風な女性。
若い女性に怪しげな名刺を渡そうとする見るからにホスト系な男性など。

繁華街にはよく見られる光景だった。

が、実際、若者も結構いたりして、自分が浮いてしまうんじゃないかなんていう心配は全くと言っていいほどなかった。

・・・さて、どこにいようかな?

オレは、ちょっとわき道に入ったところで、壁によっかかりカモが現れるのを待った。

ところがだ。
さっきから、声をかけてくるのは、ナンパ目当ての奴ばかり。
それも綺麗なおねえさんだけならまだしも、男からも誘われては、さすがのオレも蹴りをお見舞して追い払った。

あ〜あ。もしかして、そんな簡単にひっかかりはしないのかと諦めかけた頃1人の若い男が近づいてきた。

また、ナンパかと思い、蹴りの体勢に入ると、そいつはにっこり笑ってこう言った。

「よう!兄ちゃん、イイのあるけど、買わない?」

 

きた!

オレは心の動揺を顔には全く出さないように気をつけながら、
その男の顔を冷静に見た。

茶髪・・・というよりは、もう色が抜けすぎて金色に近い短髪の目の細い男だった。
年齢は、おそらくオレよりは年上だろうけど、まだ20はいっていない・・・。

「なぁ、すっげー、イイヤツなんだって。安くしとくからさ。」

オレの顔を覗き込むようにしながら言って来たので、オレも上目遣いにそいつを見た。

「・・・いくら?」

すると、そいつはにっこり笑うと、2本で5000円だと言った。

オレは無言で財布から5000円札を出すと、男はそれを受け取る代わりに小さなコンビニの袋をオレに渡した。
中には、栄養ドリンク剤くらいの小瓶が2つ入っている。

男はそのまま、毎度!と言いながら、オレの脇を通り過ぎていった。

オレはその雑踏に消えていく男の背中を見ながら、少し考えた。
若者相手にクスリを売る奴なんて、きっといくらでもいる。
その中から、拳銃を売る組織をあぶりだすには、もっと売人と仲良くなっておく必要がありそうだ。

・・・こりゃ、しばらくここに通わなきゃならないな・・・。

オレはそう思いながら、リュックの中にそのコンビニの袋ごと小瓶をしまい、今日のところは、これで引き上げる事にした。

 

帰宅してから、瓶の中身を確認すると、トルエンだった。

・・・にしても、ほんとに簡単に手に入るもんだな・・・。

自分でやっておいて、半ばその行動に呆れつつ、オレはその小瓶を机に出したままベットへもぐりこんだ。
慣れない事をしたせいで、疲れたらしい。すぐに眠気が襲ってきた。

・・・ああ、そういや、明日はテストだったよな・・・。遅刻しないようにしなきゃ。

ぼんやりそんなことを思いながら、オレは目を閉じた。

 

■     ■     ■     ■     ■

 

それから、オレは連夜新宿へ出かけた。
その場で手に入るものを手当たりしだいに買っていたら、いつのまにかオレの部屋には数種類の薬が並ぶことになった。

覚せい剤、大麻、コカイン、トルエン、LSD・・・。

すっげーな。
こんなところ警部にでも見つかったら、えらいことだぞ。
薬物所持の現行犯逮捕だ。

後でわけを話したとしても、簡単には許してはもらえないだろうなぁ・・・。
やっぱ、灰原あたりに譲って、うまく処理してもらった方が無難か?

・・・なんて、思ってみたり。さすがにやばいかな・・・。

 

とりあえず、その頃には売人の何人かに顔見知りができ、
中でも、一番最初にオレがトルエンを買った男とは比較的接触率も高く、すっかり顔なじみになってしまった。

そいつは名前を「リュウ」と名乗り、来年20になるんだと言っていた。

彼にとってはオレはかなりいいお客さんだったこともあって、いろいろとこの世界の事情など聞けば親切に教えてくれたりもした。

そこで頃合を見計らって、オレはリュウに「拳銃は手に入らないか」と聞いてみた。

すると、リュウはその細い目をさらに細めて、にやりと笑った。

「・・・手に入らない事もないぜ?どんなのが欲しいんだ?」

「どんなのでもいい。・・・なるべく急ぎで欲しいんだけど。」

オレがそう言うと、リュウはう〜んと空を仰いで考えるような素振りをした。

「・・・いくらまで出せる?」

「・・・え?ああ、そりゃ、安いに越した事ないな。」

「・・・そっか。わかった。なんとかなるか、聞いてみてやるよ。」

リュウは言いながら、オレの傍から去り、少し離れたところで誰かに電話していた。

・・・おそらくリュウはただの売人でしかない。
銃を用意するのは彼の背後にある暴力団か、何かの組織か・・・。
連絡を取っているのが、その仲介人だとしたら、組織にたどり着くまで道のりは遠いな。

オレはそう考えながら、リュウが戻ってくるのを待った。

やがて、リュウが走って戻ってきた。

「話つけてきてやったぜ?」

言いながら、リュウは小さな黒いマッチ箱を出した。

「・・・いいか?今日の2時半・・・あと30分後だな。この店に行くんだ。
入り口のところで、オレの名前を言いな。そうしたら中へ入れてもらえるはずだ。
そこで、待ってりゃ、ブツを持った人間が現れる。」

オレはリュウからそのマッチ箱を受け取った。
見ると裏には、『Another Gate』という店の名前と住所が載っていた。

「オレにできるのはここまでさ。値段の交渉はそっちで勝手にやんな。」

「・・・ありがとう。」

「あんたさ、もしかして最初っからこれが目的だったろ?
・・・でなけりゃ、あんな無茶な買い方しねーもんな。いくらなんでも短期間にいろんなモノに手を出しすぎだ。もうちょっと身体を大事にしねーとなぁ?」

リュウのその言葉に一瞬、ドキリとさせられたが、とりあえずは疑われてはいないようで胸をなで下ろした。

「・・・リュウも、そろそろこんな世界から足を洗った方がいいよ?」

そう言ってにっこり笑うと、オレは彼に別れを告げた。

 

■     ■     ■     ■     ■

 

『Another Gate』。

繁華街から少し離れたとある雑居ビルの地下2Fに、その店はあった。
表には看板などいっさい出ておらず、正に知る人ぞ知るといったところである。

要するに、そこは闇の世界に通ずる者達だけが集う場所であった。

さほど広くない店内には、バー・カウンターの他に丸テーブル席が7つほど。
暗く照明が落とされた中で、心地良いジャズが流れ、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

時刻は午前2時を少し回った頃である。

中央のテーブル席で、中年の男達3人を相手に、カード・ゲームを
している若者がいた。

「てめぇ!!イカサマやりやがったろう?!」

静かな店内に、突然、男の声が響き渡った。
その様子が周囲の注目を集めたのはほんの一瞬の事で、すぐさまみんな関心を無くす。

ある意味ここは、無法地帯。
例えば、今ここでその若者が男に刺されたとしても、誰も助ける者などいないだろう。
ここはそういう場所なのだ。

 

「ふざけんなよ?!このガキが!!」

言いながら、男がテーブルにカードを荒々しく投げつける。
それに対して向かいに座っていた若者は、まるで動じる風でもなく、
ただ唇の端を持ち上げてクスリと笑った。

「ヤだなぁ。イカサマしたのは、そっちでしょ。オジさん?
知ってんだよ?テーブルの下にカード、隠してんのをさ。」

白いキャップを目深に被ったその若者は、そう言いながら、一瞬だけ
その瞳を相手に見せる。
その眼差しの切れるような鋭さに、男はあっという間に理解した。

彼が只者ではないということを。

それは、敢えてこんな闇の世界に身をおいている者だからこそわかる、
確信でもあった。
男はケンカを売る相手を間違えたという事を悟ると、すぐさまテーブルの上に叩きつけるように金を置き、後の2人を連れて、逃げるようにその場を去っていった。

 

1人残った彼は、テーブルに置かれた札を無造作にジーンズのポケットに突っ込む。
そして器用な手付きで散らばったカードを整えると、飲み干したのグラスを持ったままカウンターへと移動した。

「マスター、ジントニック、おかわり!」

キャップに収まりきらない柔らかそうなクセ毛があちこちを向いている。
帽子と店内の暗さも手伝って、若者の顔をしっかりと見ることはできない。
だが、彼がここの常連客の1人である事をマスターは充分に知っていた。

「・・・いい度胸してるな。お前さん、アイツらを引っ掛けたじゃろう?」

立派な髭をたくわえた年配のマスターは、フレッシュ・ライムを絞りながら
静かに笑った。
すると、若者もあどけない笑顔を返す。

「・・・バレた?だって、アイツらから仕掛けてきたんだぜ?
イカサマだろうとそれに気がつかない方が負け。それがこの世界のルールでしょ?」

・・・このオレを騙そうなんて、10億年早いんだよ。

そう思いながら、新しいグラスを受け取る若者は、実は怪盗キッドその人であった。
今はもちろん、そのお決まりのスタイルではないが。
おまけに言うと、白いキャップでやや隠している程度で、なんと素顔である。

 

「・・・それで、今夜は何か収穫はあったのかい?」

穏やかなマスターの問いに、グラスを傾けながらキッドはニヤリと笑った。

「・・・いいや。残念ながら収穫ゼロ!
今日のところはこれ飲んだら、大人しく帰るかな・・・。」

「・・・それがいい。子供はもうお休みの時間だ。」

マスターにそうたしなめられると、キッドはちぇー!と、唇を尖らして見せた。

 

そこへ。

ふいに入り口のドアが開いて、外の空気が流れ込む。
キッドはごく自然な流れで、入り口に目をやった。

ドアのところに立っていた人物を認めて、僅かにキッドの目が見開かれる。

・・・何してんだ、アイツ!こんなとこで!!

一見、どこにでもいそうな若者のそのスタイルが、およそ、いつもの彼らしくないところを見ると、もしかして変装しているつもりなのかもしれないが。

ニット帽とサングラスね・・・。
そんな程度じゃ、バレバレだっつーの。

 

「・・・新顔だな。お前さんの知り合いか?」

マスターのその言葉に、キッドは小さく笑いながら、いいや、と言った。

 

・・・ここは、お前が来るようなとこじゃないぜ、名探偵?

そう思いながら。

 

■     ■     ■     ■     ■

 

午前2時20分。

約束の時間、10分前、リュウに言われたとおり、オレは例の店へとやってきた。

ドアの向こうの世界が、明らかにヤバそうに見えた。
店内にいる人間はどいつもこいつもかなり胡散臭い。
おそらくここは、そういう類の奴らが集まる情報屋みたいなところなのだとすぐにわかった。

・・・さて、どうしよう。

そう思っていると、カウンター奥のマスターらしき年配の男の人と目があった。
なので、オレはそこでリュウの名前を出してみた。
すると彼は、にっこり笑い、どこでも好きなところへ掛けるよう言ってくれた。

「ご注文は?」

別の若いバーテンダーが、オーダーを取りに来たので、とりあえず軽くモスコ・ミュールあたり頼んでみる。
本当ならコーヒーがいいけど、さすがにそんなわけにはいかないだろうし。

オレは小さく溜息をついて、改めて店内を見渡した。
薄暗い店内は、満席ではないものの、人の入りはいい。
耳を多少澄ましたところでは、誰の会話も聞こえないが、おそらくはどれもやばい話に違いないのだ。

高木刑事たちは、この店のこともおそらく知らないんだろうな・・・。

しばらくして、飲み物が出てきた。
少しそれで喉を潤しながら、時間が過ぎるのを待った。

 

そして。

約束の2時半から、5分ほど経った頃、1人の黒いダブル・スーツの男が現れた。

「リュウの知り合いってのは、兄ちゃんかい?」

その声に、オレは顔を上げた。

30代前半かと思われるその男は、オレの顔をまじまじと見つめると
にっこり笑って同じテーブルの向かい側に座った。

「・・・拳銃が欲しいんだって?」

「・・・ああ。持ってきてくれたのか?」

オレがそう聞くと、男は無言で頷き、おもむろに茶色の包装紙に包まれたいびつな形の物をテーブルの上にのせた。

拳銃だ!

・・・でも、こないだの発砲事件で使われたコルト・ポケットより大きいな。
別の種類か?

包装の大きさを差し引いても、こないだのハンド・ガンに比べれば明らかに大きいそれにオレは目をやった。

「・・・手にとって見てみなよ?」

言われて、オレは周りに見えない程度に中身を確認させてもらった。

!!これは・・・!

「何、驚いてるんだ?もしかして兄ちゃん、モノを見るのは初めてか?」

ニヤニヤしながら男が下からオレを覗いた。

「・・・大した額は出せないと、リュウには言っておいたはずだけど。
で、これはいくらなんだ?」

・・・高いんじゃねーの?コレ・・・。

すると、男は椅子にふんぞり返って、信じられない事を言った。

「タダで譲ってもいい。」

ウソだろ?!

オレが目を見開くと、奴は嫌な笑いをした。

「・・・ただし、一つ条件があるがな。」

「・・・なんだよ、その条件って。」

「オレがわざわざここへ足を運んだのは、他でもない。
ブツを売り渡す人物を見定めに来たってわけさ。あんたがタダのバカなガキなら適当な値段で売って、それでおしまいにしたがな。

あんたはどうやらそういった種類ではないらしい。
オレには、わかるんだよ。・・・その、ニオイというか、そういうもんがね。

使えるガキはできれば、使いたいってことさ。
一つ仕事を引き受けてくれたら、その銃はタダでやってもいいが。どうする?」

蛇のような光る目でオレを見ながらそう言うと、タバコに火をつけた。

思いがけない話の展開に、オレはどう答えようか一瞬考えたが、
とりあえずは先を促す事にする。

「・・・仕事ってどんな?」

「何、簡単なことだよ。それを使ってある人物を確実にしとめてくれりゃいいのさ!」

!!
なんと。コロシをさせる気か。
確かに素性もしれないガキなら、例え失敗したとしても、自分の腹は痛まないしな。
子供相手に儲けるだけじゃなくて、こんな使い方もしてるわけだ。

野郎!絶対、尻尾を掴んでやる。

「・・・ある人物って?」

オレがそう切り出したので、男は笑みを一層濃くした。

「察しはついてるだろうが、オレ達はこのへん一体を取り仕切ってる組のもんだ。
で、オレ達といろいろと取引のある海外の組織のやつらなんだけどな、ちょっとそいつらが最近、目障りなんだよ。」

・・・海外組織・・・。
ってことは、暴力団同士の抗争ではないのか・・・。

「なんだか知らねーが、酒に見立てたコード・ネームなんか名乗りやがって。ふざけた奴らなんだ。」

!!
なんだって?!それって・・・もしかして、黒の組織じゃねーのか?!

思わぬ接点にオレは驚いた。
が、次の瞬間、ニヤリと笑みが零れる。

まさか、こんなところで繋がるなんて。こんな美味しい話を見す見す逃す手はない。

 

オレはその男の出した条件をのむ事に決めた。

 

■     ■     ■     ■     ■

 

仕事の詳しい内容は、明日、またここで会ってから指示を出すということで話をつけると、男は拳銃をテーブルにのせたままどこかへ消えた。

とりあえず・・・。

包装されたままの拳銃をリュックへしまった。

本当は、奴に発信機をつけて、拳銃の密売組織のアジトがわかったら警察に通報してそれで終わりにするつもりだった。

・・・でも。
黒の組織が絡んでるかもしれないとわかった以上、そう簡単には終われない。

単なるおとり捜査が、思わぬ方向へ進んでしまったな。

オレはそう思いながら、すっかり氷の溶けたカクテルを一口飲んだ。

 

そこへ。

何の前触れもなく、先程までカウンターにいた若い男が、こちらにやってきてオレの向かいに腰を掛けた。

驚いて顔を上げたオレにソイツはにっこり笑ってこう言った。

「こんなトコで、何してんのかな?名探偵。」

げ!!その声は・・・!!

「お、お、お前!!」

キッド!!

オレはその白いキャップを被った男を凝視した。あまりの動揺に言葉がどもる。

「な、な、な、何してんだよ?お前こそ!!」

「・・・何って。だって、ここ、オレの行きつけの店だもん。
どっちかって言うとここに名探偵がいる方が、かなり不自然な事だと思うけど?」

ニヤリと笑って、キッドがオレを見る。
・・・ったく面倒なとこで会ったな。けど、なるほどね。ここはお前も出入りしてたわけだ。

「わざわざ危険を犯してこんなトコまで乗り込んでくるとは、また厄介な事に
首を突っ込んでるみたいだな?」

「・・・別に。おめーには関係ねーだろ?」

フンと鼻を鳴らしながら、冷たくそう言い放つと、キッドは、あ、そう?と笑った。

「・・・けど、拳銃なんて手に入れて、コワイなぁ、名探偵♪」

「お、お前!!何でそれ・・!!聞いてたのか?!」

いや。聞こえるわけない。席はあんなに離れていたのに。

すると、キッドはテーブルの下から、小さな部品を剥がしてコトリと置いた。

!!盗聴器!!いつのまに!!

「てっめ〜!!いつ、それつけやがった?」

「名探偵が、店に入ってきてすぐ。オーダー取ってる間に。
トイレ行く振りして、通りがかりにね。」

・・・。
ということは、話は全て聞かれていたということか・・・。てめぇ、コノヤロ。

オレのギロリとした視線を、キッドはさらりと笑顔でかわしながらこう言った。

 

「ここじゃなんだからさ、ちょっと場所変えて、じっくり話そうか、名探偵?」

 

 

■ To Be Continued ■


 NEXT

恵様からのリクノベルの第2話です。
・・・というか、本当は前編・後編で終わりにする予定が・・・。
思わぬ感じで長引いてます・・・(苦笑)。相変わらずの構成力のなさ・・・。

頂いていたリクは以下の通り!

○事件モノで事件解決の為には手段を選ばない新一
○無茶をする新一をフォローするKID。というか無茶を見かねて(笑)
○そんな二人を垣間見るが、黙って見守る(見逃す?)某警察関係者

・・・何というか文字にすると凄いリクエスト(^^;)
特に最後のリクに自分の趣味が表れてます(苦笑)
某警察関係者は、個人的には映画「瞳の中の暗殺者」に登場の小田切警視長。
ラストシーンで惚れましたv原作にも登場してくれないかと密かに思っているのです

(&同じくリクノベルの中から、「銀のNeedle」の後日談!!)

で、やっとキッド様の登場です!!
今回は新ちゃんのおとり捜査開始!!ってな具合だったのですが・・・。
自分で書いておきながら、こんなことやってたらマジでやばいよ、新ちゃん?とか
思いつつ、書いておりました。(苦笑)

いいの、だって「無茶する新一」ってのがリクだから!!
・・・って違う?

今回は小田切警視長はお休みでしたが、また後編にてご登場いただく予定です。
・・・こんなカンジで、よろしかったですか?恵様・・・(ドキドキ)

 

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