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NOVEL

トロピカルランド ☆ デート 中編

 ♪ Happy Barthday Shinichi ♪  2002.05.04

This story is the work which nonfiction mixed with based on ririka's actual experience with the fiction.

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さすがに一時間半近くも電車で寝ていると、首やら腰やら身体のあちこちが痛い。

寝ぼけ眼のオレ達がトロピカルランドのある磯部駅に到着した時、既に時刻は5時半を回っていた。

 

相変わらず降りしきる雨は一向に止む気配はなく、それどころか風すら出てきて、まるでちょっとした台風並だ。

ここまで悪天候では、いくらGWでも今日、トロピカルランドへ遊びに来た人はそうそういなかったのか
駅はずいぶん閑散としていた。

ここからトロピカルランドまでは、またバスを利用する。

タイミングよく現れたバスに乗り込むと、乗客をオレ達の他にもう一人乗せただけでバスは出発した。

このままトロピカルランドまではノンストップである。

 

「・・・・・おい、快斗。このバスって確か、トロピカルランドのエントランスのトコに停まるんじゃなかったか?
入り口正面からホテルまでって、少し距離あるよな?」

オレはトロピカルランドには来たことはあっても、そのホテルに泊まるのは初めてだった。

宿泊先のホテルは、トロピカルランド・ホテルと命名しているだけあって、トロピカルランドに隣接しているのだが
ちょっとは歩かなければならないだろう。

ってことは、傘をささなければならないわけで。

ここまでどしゃ降りだと今までのように快斗に入れてもらうわけにはいかない。

オレはうんざりしながらバックの中から折りたたみ傘を手探りしてみた。

「でもさ、新一。トロピカルランドはもう閉園してるし、この時間にこのバスに乗ってるんじゃ
行き先がトロピカルランド・ホテルだってことくらいわかってんじゃねーの?ホテル入り口まで連れてってくれるんじゃ
ないかな?」

・・・だといいけど。

 

すると、快斗の言うととおり、バスはトロピカルランドの入り口は素通りし、ホテル前まで行ってくれたおかげで
オレ達は傘を広げることなく、ホテルにたどり着く事が出来た。

ホテル内のロビーは、思ったより広々していて良い感じだ。

「チェックインしてきちゃうから、新一はここに座ってて。」

ソファにバックを置いたまま、快斗はさっさとフロントへ行く。オレはそんな快斗の背中を見送っていた。

と、オレの前にポーター係の若い女性が現れた。

「雨の中、ようこそいらっしゃいました。トロピカルランドには今日、行かれてたんですか?」

「・・・あ、いえ。明日行く予定なんです。」

オレがそう答えると、彼女はにっこり笑った。

「雨は今夜いっぱいで上がるそうで、明日の天気予報は晴れですよ。遊園地日和ですね。
今、ちょうどトロピカルランドは8周年記念のイベントをやっていますし、イベント開催期間中は毎日、
来場されたお客様先着100名さまに記念ステッカーをプレゼントしているんですよ?」

・・・・・記念ステッカー? それって、トロピカルランドのキャラクターか?
それとも『仮面ヤイバー』のか?

・・・・・どっちにちても少年探偵団の子供達が喜びそうだな。

つられてオレが笑っていると、快斗が背中から声をかけてきた。

「それじゃ、その記念ステッカーももちろんもらわないと!」

ノリの良い快斗の返事に彼女もますます笑顔を濃くする。

「・・・では、お部屋へご案内します。お荷物はどうぞ、私が持ちますので。」

「「え?」」

思わず、オレと快斗の声が重なる。

いや、確かにポーターさんなんだから、荷物を持ってもらうのは普通なんだけど。

でも女の人に男2人の荷物を持たせるなんて。

オレが自分で持ちます・・・と言う前に、快斗が彼女から二つのバックを奪い取ると、そのままスタスタ先を
歩き出した。

「あっ!あのお客様!本当に大丈夫ですから・・・」

「気にしない、気にしない♪・・・で、エレベーターこっち?」

「あ・・・はい!!でもあのっ!!」

「あ、本当に気にしないでください。アイツが自分で持ちたいって言ってるんで。」

オレが笑顔でそう言うと、彼女は何度か頭を下げた後、オレ達をエレベーターホールへと案内した。

 

オレ達の部屋は最上階らしい。

しかも、エレベーターを降りてもなかなか部屋までたどり着かないと思ったら、なんと一番奥だった。

道々、ポーター係の彼女と適当な会話としていたのだが、ふと彼女が聞いてきた。

ちょっともじもじした様子で。

「・・・・あの。お2人はどういう関係なんですか?」

「え?」

 

・・・・・・・どういう・・・・・・って。

オレと快斗は思わず、顔を見合わせる。

・・・ああ、そうか。オレ達の顔が似ているから、また双子とか思われたのかな?

なのに、快斗ときたらにこにこしながら

「オレ達の関係?そりゃもちろん、恋・・・!うっ!!!」

と、言いかけたので、オレは慌てて快斗の足を思いっきり踏みつけて黙らせた。

・・・・てっめぇ!!彼女はそういう意味で聞いたんじゃないだろーが!!

オレが引きつった笑いを浮かべて

「・・・ただの友人ですよ。ただの!!」

と、そう断言すると、彼女も苦笑しただけでそれ以上つっこんではこなかったので、とりあえずは
誤解されずにすんだようだと思ったのだが。

通された部屋を見て、オレは絶句することになる。

 

最上階の最奥の部屋、一見して明らかにゴージャスなそのドアの造り!

さらに中に入れば、もうここがどういう部屋なのかは一目瞭然である。

 

・・・・・・・スイートじゃねーかっっっ!!!!!

 

オレはワナワナ震えながら快斗を見つめるが、快斗はしてやったり!と笑顔を浮かべながら
ポーター係の彼女に諸注意なんかを受けている。

「・・・では、黒羽様。ルーム・キーはこちらに置いておきますので。
何かありましたら、フロントまでそちらの電話でお申し付けくださいませ。

それから、お夕食ですが、ホテル内のレストランをご利用される際は、先にお席をご予約されてから行かれることを
お勧め致します。」

と、彼女はそれだけ言うと、さわやかな笑顔を残して部屋を去って行った。

ぱたんとドアが閉まるのを待ってから、オレは快斗に噛み付いた!

「・・・・快斗!てっめー!!なんて部屋を取ってやがるっっ!!!」

「え〜??だって、せっかく新一の誕生日だしさ。
ホテルのプランを調べたんだけど、スタンダードのプランとそう値が変わらなかったんだよね。
だったら、ゴージャスの方がいいかなって!!」

飄々とそう答える快斗に、オレは頭痛がしてきた。

 

男2人でスイートに泊まってたら、そりゃ関係も気になるよな・・・・。

つまり、さっきポーターの彼女が聞いてきたのは、そーゆーワケだったのか。

 

「いやぁ、結構ホテル新しいのかな?綺麗だよな。しかも良い部屋じゃん?」

頭を抱えるオレの気も知らないで、快斗は寝室やバスルームを一通り見て周り、感嘆の声を上げている。

確かにスイートだけあって、部屋に文句をつけるつもりはないのだが。

それにしたって、こういうマネは勘弁してもらいたい。

 

「なぁ、新一!夕食、どうする?」

にこにこ上機嫌で訊いてきた快斗に、オレは答えるより先に電話の受話器を取った。

「・・・すみません、予約をお願いしたいんですが。 あ、はい。4121号室の黒羽と申します。
・・・そうですね、じゃあ7時に2名で。・・・はい、お願いします。」

チン♪と受話器を置いた後、快斗が恐る恐るオレの顔を覗く。

「・・・・し、新一。どこの店をリザーブしたの?」

「和食の店。オレは伊勢海老の会席コースを食うから!」

「和食の会席ィィ?!新一、オレを殺す気か?会席なんて言ったら・・・・!!」

「そうだな。近海の海の幸がふんだんに使われてるかもしれねーな!」

勝ち誇ったように、オレは笑う。

「新一っっ!!伊勢海老が食べたいならスペイン料理の店で、パエリアだっていいだろっっ???」

「ヤだ!」

つんとオレはソッポを向くと、泣きすがる快斗を無視して、荷物をクローゼットに片付け始めたのだった。

 

 

☆       ☆       ☆

 

 

それから、オレ達は上品な和食の店で夕食を取る事になるのだが。

「魚全般苦手なので」と注文をつけた快斗のメニューは、オレと同じなはずなのに、まったく別メニューかと
思われるほどのものが並んでいた。

 

・・・・・・ちょっと、かわいそうだったかな?

 

美味しそうに刺身を食べるオレを、快斗が気味悪そうな顔で見ている。

「・・・おい、快斗、お前も少し食べてみたらどうだ?うまいぜ?コレ。」

「・・・遠慮しておくよ。」

魚を食べなきゃ意味無いだろうと思われるこの会席のコースを、魚無しでオーダーした快斗のメニューは
ずいぶんとこざっぱりとしていた。

少しやりすぎたかとも思ったが、快斗は快斗で、オレが美味しく食べているなら構わないと笑っていたので
放っておく事にした。

ま、このときは、後で快斗がどんな報復を考えているかなんて、思いもしなかったのだから
オレもまだまだ甘いのかもしれないのだけれど。

 

とりあえず、一通り伊勢の海の幸を堪能したオレは、大層ご満悦で店を後にした。

部屋に戻るとそのままベットにばたんきゅー。

満腹感も手伝って、妙に眠くなってきてしまった。

 

「新一、新一?コーヒー、入れてあげるからさ。それ飲んだら、もうシャワー浴びちゃったら?」

「・・・ああ、そうだな。明日のこと考えると、今日は早く寝たほうが良さそうだ。」

そう。明日はお天気らしいから一日トロピカルランドで遊ぶ事になる。早く休んで体力を温存しておいた方がいいだろう。

オレが欠伸をしていると、快斗がにっこりと笑う。

「新一、バスルーム見た?すっごい広いんだぜ?まさに2人で入れと言わんばかりにね。」

「・・・・・・・お前な。」

ジロリと睨んだオレをものともせず、快斗はクスクス笑ってコーヒーを用意し始めた。

部屋にいい香りが漂う。

コーヒーを飲みながら、ざっと明日の予定なんかを話した後、オレは快斗の言葉どおりシャワーに入る
支度をし始めた。

確かにバスルームは広い。シャワールームとも別れているし。

・・・一応、鍵は付いているけど。こんなの快斗にかかれば、無いのも同然だからな・・・・。

オレは振り返って、ソファにふんぞりかえっている快斗を白い目で見た。と、ヤツと視線が合う。

「嫌だな、新一。安心して一人でゆっくり入ってこいって。邪魔なんかしたりしねーよ。」

「・・・・・・・本当だな???」

それでもオレはやや疑わしい視線を快斗に送りつつ、バスタオルなどを抱え始めた。

と、オレの目を引いたのは、部屋に置かれていたバスローブではなく、不思議なパジャマスタイルなもの。

「・・・何だ、これ?」

取って広げてみると、大きなひまわりの絵柄がプリントされている寝巻きなのだが、パジャマのシャツがそのまま
長くなって膝下まであるような、ちょっと他では見ないデザインだった。

「へぇ?かわいいじゃん。あ、きっとさ、ホテルの天然温泉の大浴場に行くのに、それ着たまま行けるんだぜ?
確かホテルのガイドに書いてあった。」

快斗が笑う。

なるほどね。コレを来て温泉の大浴場までは歩き回る事ができるわけだ。

「ところで新一、大浴場の温泉へ行くつもり?」

「・・・・いや、特には考えてなかったんだけど。」

そう答えると、快斗はにっこりし、続けた。

「・・・ならさ。今夜は部屋のシャワーにしといて、そのパジャマを着ておいたら?
温泉は朝風呂でどう?そうしたら、朝起きてから、その格好のまま行けて、着替える手間が省けるし。
何よりそれ、しっかり前ボタンだから、お腹とか冷えなさそうだしさ。」

「・・・・・オレはガキじゃねーぞ?」

とは言いつつも、確かに寝ているうちに着崩れしてしまうバスローブや浴衣なんかに比べたら
このパジャマタイプの物の方がいいかもと、オレ自身も思う。

快斗を若干に睨みつつも、オレはその不思議なパジャマを持ってバスルームへ消えた。

気休めにしかならないが、しっかり鍵だけはかけさせてもらって。

 

実際、途中心配されたような快斗の乱入はなく、オレはのんびりシャワーを浴びる事ができた。

で、例のひまわり柄のパジャマを着てみたのだが、なんだか大き目の白衣(この場合は白ではないが)を
そのまま直に被っているようで、鏡に映った自分の姿はかなりマヌケな気もしないではなかった。

着替えを終えてバスルームから出てきたオレを、快斗は妙にうれしそうに微笑んで迎えた。

「・・・・何、ニヤニヤしてんだ?」

「いやいや。新一は何を着てもかわいいなぁと思ってね。」

相変わらずおかしな事をほざく快斗に、濡れた髪をタオルでガシガシと拭きながら、オレは溜息をつくが。

そんなことより驚いたのは、オレがシャワーを浴びる前には無かった物が、新たに部屋に登場していたことだ。

テーブルの上に置かれているワインやら、その他ちょっとしたフードの数々。

「・・・・お前、コレ、どーしたんだ?」

「ああ。ルーム・サービスで取っちゃった。やっぱあの食事だけじゃ、お腹が空いちゃってね。
あとは・・・。ま、せっかくの新一の誕生日だし、お祝いしないと。」

言いながら、快斗がにっこり時計を指差す。

時刻は、まもなく深夜0時になろうとしていた。

日付が変わると、5月4日。確かにオレの誕生日だ。

「・・・あ、そうか。」

「そう!だから乾杯の準備をしよう。じゃ、新一、そこ座って。」

快斗はウインクをしながら、二つのグラスにワインを注いだ。

「酒なんか飲んで大丈夫かよ。二日酔いにでもなったらシャレにならないぜ?」

注がれたグラスを手にしながら、中の液体を覗き込むと白ワインがうっすらオレの顔を映した。

「そう思って、軽めのにしといたから大丈夫。・・・・よっし、12時ジャスト!じゃあ乾杯といこうか。」

時刻を確認した快斗がグラスをオレの方へと傾ける。

「ハッピー・バースデー!新一。」

「・・・さんきゅ。」

一瞬、重なり合ったグラスが再び離れて、それぞれの口元に運ばれる。

よく冷えた白ワインは、確かに快斗の言うとおり口当たりの良い軽めのもので飲みやすかった。

「本当はバースデー・ケーキも用意しようかとも考えたんだけどね。」

「・・・いいよ。甘い物は苦手だし。夕食も量が多かったから、とても食べきれねーよ。」

「そう言うと思って、やめといた。」

微笑みながら、快斗がうんうんと頷く。

「けど、お前の方こそ、ケーキを食べたかったんじゃねーのか?お前、甘い物大好きだもんな。」

すると、快斗は目を細めて笑い、すっと立ち上がってオレの方へ前かがみになると、そのまま唇を重ねた。

「・・・オレの大好きなのは新一。・・・・わかってるだろ?」

そう言ってウインク一つすると、再び快斗は腰掛けた。

「・・・・・・お前、よく恥ずかしげもなくそんな事、言えるな。」

にこにこ微笑む快斗の視線が妙に気恥ずかしくて、オレは思わず顔を背けながらそう呟くしかなかったが。

どうもこういう雰囲気は苦手で、ぎこちなさをまぎらわすために、ワインをやたらに口に運んで場を繋いだのだった。

 

そうして、しばらく経った頃、妙に瞼が重くなっている自分に気がついた。

もともと眠かったのに、酒など飲んだのだから当然と言えば当然の結果ではあったのだが。

そんなオレの様子に気がついた快斗がクスリと笑った。

「新一、そろそろお開きにしよっか。オレもシャワー浴びてくるから、新一は先に寝てていいよ?」

言いながら、快斗がオレの手からグラスを取り上げる。

「・・・・ん。じゃ、ワリィけど先に横になってる。明日は何時に起きればいいんだっけ?」

「朝食は8時から9時半の間に1Fのカフェに行けばいいみたいだから、それに間に合うように起きれば充分。
ちゃんと、起こしてあげるよ。」

快斗の答えにオレは欠伸をしながら頷くと、そのままベットにダイビングしてしまった。

広くてふかふかのダブルベット。

すぐにも眠りに落ちてしまいそうなはずが、ふとオレの眠気を覚ますような妙な音に、オレはぱっちり目を開けた。

「どした?」

「・・・・今まで、気にならなかったけど。・・・・なんか外がすげーうるさい。」

「へ?」

オレの言葉に快斗も耳をすます。

というか、耳なんてすまさなくとも、しゃべらなくなれば気付く音、いや、正確に言えば鳴き声が部屋に響き渡った。

 

・・・・ゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコ・・・・・∞

 

「・・・・カエル・・・・だよな、この鳴き声。」

「あー!ほんとだ!!そういや、このホテルの周り、緑が多いからなぁ!」

「・・・・うるさすぎて眠れない。」

都会ではもうめったに聞くことの出来ないカエルの大合唱。

眠りの妨げには充分である。

「・・・うーん、確かにこれは困ったな。」

快斗も言いながらカーテンを開け、真っ黒な外を睨みつける。

「これじゃ、せっかくのムードが台無しだ。」

・・・・オメーは、この期におよんでそんなことを企んでやがったのか!!

オレはマジメに呟く快斗の後ろ頭目掛けて、ふかふかの枕を投げつけたが、当たったところで大して痛くは
ないだろう。

快斗は振向いて笑顔で枕を投げ返してきた。

「ま、そのうちカエルだって寝るだろ。ダイジョーブ!!んじゃ、オレもシャワー行って来るな!」

「とっとと行きやがれっっ!!」

オレの怒声を浴びながら、快斗はケラケラと笑いバスルームへ消えていった。

一人になると、余計にカエルの声が耳につく。

 

・・・・うるさい。とても眠れない。

 

そう思っていたのに、襲い掛かる急速な眠気はオレの聴覚まで奪ったのか、そのうち気にもならずに
眠りにつくことができたのだった。

 

不意に、身体を包んでいた暖かい空気が逃げる気配がして、オレはうっすらと目を開けた。

どうやら快斗がベットに入り込んだらしい。

「・・・ごめん、新一。起こしちゃった?」

「・・・・・ん。」

すぐ近くに見えた快斗の顔を一度は確認したものの、オレは再び目を閉じて眠りにつこうとする。

が、足元に妙な感覚を覚えて、今度はぱっちり目を開けた。

「・・・・テメー、どこ触って・・・!!」

布団の中で妖しくオレの太股に絡む快斗の手を必死に引き剥がすが、快斗は悪びれもなく、
いけしゃあしゃあとこう言った。

「・・・いや、だって。新一ってば、襲ってほしいのかと思うくらい、大胆なポーズなもんだからvvv」

「何が大胆なポーズだっっ!!」

と、オレも布団の中の自分の足元を確認すると、着ていたはずのパジャマの裾が寝ているうちにどんどん
ずり上がって、下半身はほとんど露な状態だった。

「・・・げっ!」

「な?襲ってくれって言ってるようなもんだろ?このパジャマ、結構いいよな。脱がす手間が省けてvvv」

ニヤニヤと笑う快斗にオレは必死で距離をおこうと後退するが。

「・・・・も、もしかして。・・・・だから、お前、このパジャマを着るように促したのか?」

「ん?何の事かな?」

目を細めて笑う快斗は、絶対に確信犯的な笑顔にしか取れない。

オレがすべてを悟った時は、すでに遅かった。

 

「さて、夕食がアレじゃ、せめてデザートくらい美味しい物をいただかないとな♪」

 

 

☆       ☆       ☆

 

 

翌朝、9時過ぎ。

1Fのカフェで朝食を取るオレ達のテーブルは、さわやかな天気とは一転、ずいぶんと暗いものだった。

 

「いやぁ、ほんとに昨日とはうって変わっていい天気で良かったよな!」

「・・・・・。」

「これなら、トロピカルランドで思いっきり遊びまくれるぜ?なぁ、新一?」

「・・・・・。」

「・・・・しーんーいーちぃ・・・・。頼むから無視すんのは、勘弁してくれよ?」

苦笑いしながら、ミルクティを飲む快斗がオレのご機嫌を取るように覗いてくる。

 

「だから昨夜はオレが悪かったってば。でもちゃーんと今日の事を考えて控えめにしたつもりなんだぜ?
なんたって、一日遊びまわるのに新一の腰が立たなかったら、シャレになんねーもんな・・・痛っっ★☆」

などと、ニヤニヤ笑いながら言うものだから、思いっきりテーブルの下でヤツの足を蹴飛ばしてやった。

もちろん長いテーブルクロスに隠れて、そのへんが見えないのは計算済みだ。

「・・・テメーな、それ以上ナメた口を利いてみろ!どうなるかわかってんだろうな?」

オレがそう睨みを効かすと、快斗はわざとらしく「ははぁ!」とテーブルに両手をついて伏して見せた。

 

・・・・にゃろー!どこまでもナメやがって!

 

「・・・・今日は誰の誕生日だっけ?」

頬杖をついて、プレートにのったベーコンをつつきながら不貞腐れたようにオレが言うと、

「・・・・新一。」

と、快斗が答えた。

チロリと上目使いに快斗がオレを見つめる。

「わーったよっっ!!今日一日はオレは新一の下僕にでも何でもなるから!!それで許してくれる?」

「・・・・・・以後、変な言動、及び行動を起こした場合は、容赦しないからな!」

オレはそれだけ言うと、今日初めて快斗に初めて笑ってやった。

それを見て、快斗もうれしそうに微笑む。

「でも考えてみりゃ、オレなんていつだって新一の下僕みたいなもんだから、慣れてるけどね?」

「・・・・あん?」

「いつだって、新一はオレのお姫様だってこと!!」

にやりと笑って言う快斗に、オレは再度テーブルの下からの攻撃をしようとして、今度はかわされ
オレの繰り出した右足は、快斗の両膝にがっしりと挟まれて動かせない状態になってしまう。

「甘いね、新一♪そう同じ手は食わないよ?」

「・・・・テメェ、下僕のクセにご主人様に逆らうつもりか?」

「テーブル・マナーのなってないご主人様だなぁ!」

ただの大人しい下僕に成り下がるつもりはないらしい。

オレは盛大に溜息をつくと、コーヒーのお代わりをお願いした。

「・・・・放せ!とっとと食って、トロピカルランドに行くぞ!もうすぐ開園時間だろ!」

「あ!そうだ!先着100名に入って、記念ステッカーをもらわなきゃ!!」

 

・・・・オメー、あれ、本気だったのかよ・・・・。

 

 

☆       ☆       ☆

 

 

昨日とはうって変わっての好天に恵まれたトロピカルランドは、朝から盛況だ。

小さな子供を連れた家族達が続々と押しかけていた。

 

「トロピカルランド8周年記念のステッカーです。どうぞ♪」

 

トロピカルランドのエントランスをくぐったオレ達に、お姉さんがマップと一緒にステッカーを差し出す。

どうやら、本当に先着100名の中に入れてしまったようだ。

『仮面ヤイバー』が決めのポーズを勇ましく取っているそのステッカーを見て、オレはしばし固まる。

 

・・・・だって、『仮面ヤイバー』のこんなでっかいステッカーをオレがもらって、どーすりゃいいんだ?

少年探偵団の奴らにやるって言ったって、あと2枚ないとケンカになるぞ?

 

などと、オレが考えてるのをよそに、快斗はそのステッカーを大事そうにしまった。

「今日の日の記念のステッカーだからね。オレにとっては宝物。」

 

・・・・・・このステッカーがか????

価値の基準はまぁ人それぞれだとは思うが。コイツのは本当に理解不能だな・・・・。

 

オレは溜息をつきつつ、とりあえず自分の分のステッカーをバックにつっこむと、マップを広げた。

「・・・で、どこから行く?一番の絶叫マシンなら、この『ピレネー』ってヤツだぜ?」

「長さ、速さ、高さともに世界最大級の吊り下げ式コースター・・・。ふーん、面白そうじゃん。
他はなんかあったんだっけ?」

「コースター系はあと2つ。この『グランモンセラー』ってのはマウンテンジェットコースター。
回転とかはしねーぜ?TDLの『ビックサンダー・マウンテン』みたいなもんかな。
もう一つは室内型のコースターで『イベリア超特急』ってのがあるけど。」

マップを覗き込んでいた快斗が、ピンと人差し指で『イベリア超特急』を弾いた。

「現在位置に一番近いのがここだね。んじゃ、まずは『イベリア超特急』から行っとこうか!
ここで軽く肩慣らしってのはどう?」

「・・・いいけど。」

たぶん肩慣らしにもならないと思うんだよな。確か・・・。

前に蘭と来た時に一度乗ったことがあるはずだったが、その一度きりしか乗っていないのだ。

暗闇を滑走するコースターで、大したスピードも出ないということは覚えていたが
何度も乗らなかったのは、面白くなかったからなのか、それとも蘭が怖がったからだったのか、
オレにはっきりした記憶はなかった。

 

『イベリア超特急』のコースターがあるところまでは、メインストリートを歩いていく。

スペインの街並みをモデルにしているその通りには、いろいろカジュアルなカフェが並んでいて
ピザやら、チュロスやら美味しい匂いがただよっている。

「ランチは何食べようか?新一っっ!」

目を輝かせながら快斗がそう訊ねてきたが、朝食をさっき食べたばかりなのに、コイツは何を言ってやがるんだ?

「・・・まだそんなこと考えられねーよ・・・。」

オレは呆れ顔でそう呟いた。

 

トロピカルランド自体はだんだんと人口密度が上がってきたものの、やはりコースターにも乗れないくらいの
小さな子供が多いせいか、アトラクションは全体的に空いていた。

『イベリア超特急』もオレ達以外に、もう一組カップルが乗るくらいで。

安全バーを下げた時点で、オレはその妙にがっちりして身動きが取れない状態に苦痛を感じた。

「・・・なんかこのバー、すっげー痛くねーか?」

「・・・確かにそうだねぇ。」

隣でバーをいろいろいじりながら快斗もそう頷く。

そうこうしているうちに発車する。やはり予想通り、大したスピードも出ないのでスリルの欠片もなかったのだが。

 

・・・・・・オレと快斗は別の意味で悲鳴を上げる事になる。

安全バーできつく固定されているせいで、横揺れの度、容赦なく顔面をバーにぶつけるからだった。

「イテイテイテイテイテイテイテ〜〜〜〜ッ!!★☆」

・・・・・・思い出した。・・・・これだから、オレは前に来た時も何回も乗らなかったんだ・・・・。

 

コースターから解放されたオレ達は思わず、お互いにげっそり疲れた顔を見てプッと吹き出した。

「・・・あー、なんかヒドク肩がこった気がするけど。一発目からして選択を誤ったかな?」

首を左右に振りながら快斗がそう言った。

「・・・コレはもう乗るのはパスだな。」

オレもげんなりした声で答えると、快斗が眩しそうに日差しを手で避けながら、前方に見える『グランモンセラー』を
指差した。

「次はアレにしとこうぜ?アレなら本当の意味での肩慣らしになるだろ?で、その次が本命の『ピレネー』な!」

そうしてオレ達は、『グランモンセラー』を目指したのだが。

 

本当に今日は夏日だ。

山の上にあるテーマ・パークだけあって、風がさわやかに吹いているからこそ気持ち良いが、日差しが強すぎる。

目を開けているのもちょっと辛いくらい、日差しが眩しい。

 

「日焼けしそうだね。」

オレの横を歩く快斗が優しく微笑みかけた。

 

『グランモンセラー』は快適だった。

気温が上昇してきたところに、風を切って走るコースターは気持ちがいい。

絶叫するほどのマシンではないのだが、こういうくつろいだ気持ちのまま乗れるコースターというのも
オレは結構好きだったりする。

隣の快斗も楽しそうにはしゃぎまくっていたのだが。

実は、これにも大きな落とし穴があった。

オレ達を乗せたコースターが、周遊し終えて再びスタート地点へと近づいた時だった。

ものすごい急ブレーキをかけて止まったため、オレは前にある安全バーにしたたかに腹を打ち付けてしまったのだ。

「・・・新一、ダイジョーブ???」

声の無い悲鳴を上げて、思わず痛さのあまり俯いてしまったオレを、心配そうに快斗が覗き込んだ。

「・・・・・・・お前は大丈夫だったのかよ?」

悔しい事に快斗はあったりまえ!言わんばかりの眩しい笑顔を返してきた。

『グランモンセラー』の出口へと向かいながら、快斗が振り返った。

「どーする、新一?この次『ピレネー』行けるか?もしあれだったら休憩挟んでもいいけど?」

その快斗の顔が、なんかオレを小ばかにしているようでむかついたので、本当は少し休憩したいところを
オレは敢えてしないことに決め、快斗を追い抜かしてずんずんと『ピレネー』へと向かったのだった。

 

『ピレネー』は、吊り下がり式のコースターだ。

ま、要するに椅子に座った形で、足がぶらぶらしている状態だということなんだけど、足がふんばれないという
状態はより一層スリル感を与えるのだそうだ。

椅子に座り込んで安全バーを降ろしながら、オレはある意味、安全バーに恐怖心を感じずにはいられかった。

・・・まーた、がっちり固定されて痛いんじゃないだろうな?

と思うと、意外にもゆとりのあるバーだったので、その心配はなかったが、逆にゆったり過ぎるのも
少々不安だ。

・・・これって派手に回転するんじゃなかったっけか?

「新一、新一。ベルトも締めねーと・・・。」

隣の快斗に突付かれて、オレは慌ててベルトを締めた。

実はオレは『ピレネー』に乗るのは初めてだ。

今までこのトロピカルランドに来たって、蘭は怖がって乗らなかったし、コナンとして少年探偵団の奴らと来た時は、
身長制限に引っかかって乗れなかった。

本当の絶叫マシンは久々だな・・・。

そう思っていると、快斗が横でニヤついた。

「・・・もしかして、新一、怖い?」

「・・・んなワケあるか!バー・・・・っっ!!!」

バーローっと続けたかったのだが、オレがそう叫び終わらないうちに、『ピレネー』はスタートした。

さすがにスゴイ高さとスピードで、椅子から身体が浮く瞬間だけはちょっと正直焦ったが。

空中で散々振り回されて、やっと地上に降ろされた時には、ハードな動きについていけず具合の悪くなる
女の子などもいたようで、顔色を無くしている人も見受けられた。

絶叫マシン好きなオレと快斗にいたっては、もちろん平気だと言いたいところだが。

 

・・・微妙に腰にきた気がする・・・。

 

オレは隣で上機嫌に次は何を乗ろうか考えてる快斗を睨みつけた。

「新一、次はどこ行く?オレとしてはもう一回この『ピレネー』に乗っても構わないし、
あとは・・・そうだな。このウォーター・ライドの『スプラッシュモンセラー』でもいいぜ?」

「・・・・。」

「新一?どうした?まさか気分でも悪いとか?」

からかうように快斗が笑った。

「・・・気分は悪くねーよ。」

ただ腰がイテーんだよ!!!お前のせいでなっっっ!!!!

オレは快斗を冷たく見つめ返すと、一言、

「・・・・・・休憩する。お前、アイス・コーヒーでも買って来い。」

と告げた。

言われた快斗はきょとんとしたまま、オレを見つめ返すので、トドメにもう一言添えてやる。

「今日一日、お前はオレの下僕になるんだろ?」

 

 

☆       ☆       ☆

 

 

木陰の下のベンチで待っていると、快斗がアイス・コーヒーを持ってオレのもとへ戻ってきた。

「はい、新一。・・・で、何?もしかして体調悪い?顔色はそう悪くはないけどな。」

コーヒーを受け取りながら、オレはジロリと快斗を睨む。

「・・・・別に乗り物に酔ったわけじゃねーよ!」

そっぽを向いて答えるオレに、快斗はちょっと首を傾げた様子だったが、すぐさまその目にニヤリと嫌な
笑いを浮かべると、わざとらしくポンと手を叩いた。

「ああ!なるほど。悪かったな、新一。立てるか?なんならこの先ずっとおんぶして周っても構わないけど?
なんたって、オレ、新一の下僕だし。」

 

・・・・このヤロウ。ちっとも悪かったなんて思ってやしないくせして!

 

無言で睨みつけるオレに対して、オレンジジュースをストローでちゅ〜っと飲みながら笑う快斗の
ふてぶてしさといったら!

ああ、腹が立つ!!今日はオレの誕生日なんじゃなかったのかよ?

 

完全に機嫌が降下し始めたオレを目の前に、快斗は苦笑しながら言った。

「じゃあさ、新一。少し休んだらしばらく乗り物はパスして、奥の方までゆっくりお散歩しよっか?
いろいろ見所はあるみたいだしさ。ね?それならいいだろ?」

 

そんなわけで、オレ達はそのまま午前中いっぱい、のんびりトロピカルランドを歩いて散策して回った。

外国の通りなどを模して作られているので、歩いているだけでも結構楽しめる。

途中、興味のあるそうな店に立ち寄ったりしながら、ぐるりとパーク内を一周してもといた『ピレネー』のあたり
まで戻ってきた。

時間的にはそろそろランチタイムではある。

「そろそろお昼だけど、新一、お腹は空いた?」

「いや、あんまり。今朝も結構ホテルの朝食をしっかり食べてきたからなー・・・。
オレはその辺のホットドックでも食べる程度でいいんだけど。」

「そっかー。確かにどこのレストランも混んでそうだしな〜。じゃあ、そうするとして、その前に・・・。
アレだけ、乗っておこうよ?」

そう言って、快斗が指差したのは『スプラッシュモンセラー』だった。

「アレってただの激流下りみたいなもんだろ?落ちるのは最後の一瞬だけだしさ。
大して動きもハードじゃないし、新一の腰にも響かないと思うんだよね?どうかな?」

・・・ったく、誰のせいで腰が痛んでると思ってやがるっっ!!

と、喉元まで出かかったが、オレとしてもそろそろ何か乗りたい気がしていたので、快斗の提案に乗ることにした。

そうして、『スプラッシュモンセラー』の乗り場まで来たわけなのだが。

丸太の形をしたそのボートは、そんなに濡れるのか???と、思わず引いてしまうほど、中はびしょびしょだった。

4人掛けで縦列に座るタイプのそのボートに2人で乗る場合、たいていはみんな濡れたくないため
前2つの席を空けて、後ろ2つのシートに座る。

当たり前だが、後ろへ行くほど濡れる確立が低くなるわけだから、この場合オレが一番後ろに座るのは当然だろう。

「快斗、お前が前に座れよ?」

「遠慮するなよ、新一♪」

「バーローッ!遠慮なんかしてねーよ!お前が前に行けよ!?いいなっっ!!!」

と、散々念を押したのにだ!!

快斗のヤツときたら、ボートが着くとさっさと最後部のシートに乗り込みやがって、紳士っぽくどうぞ♪などと
オレの手を引いて見せやがる。

「・・・・てっめぇ〜・・・・。」

「ほらほら、新一。早く乗り込まないと他の人に迷惑でしょ?」

オレはちっと舌打ちをしながら、仕方なく快斗の前に乗り込んだ。
すると、快斗ががっしりと後ろから抱きしめてくる。

「・・・こっ、こらっ!何しやがるっっ!!」

「いや、少しでも新一を濡らさないように、後ろへ引っ張ってあげてるつもりなんだけどね。」

人の肩の上に顎を乗せて快斗がクスクスと笑う。

「そう思うなら、場所を変わりやがれ!っていうか、それよりこの手を放せ!ここまで密着する必要ねーぞっ?!」

「まぁまぁ、そう言わずに!」

オレ達がごちゃごちゃ口論している間に、ボートがゆっくりと流れ出す。

しかし緩やかな渓流を下る間、快斗は執拗にオレへと身体を密着させ、しかもうなじに唇まで押し付けてきやがった。

「・・・ヤッ・・・メロ!!このバカっっ!!」

「別に何にもしてないよ?ああ、新一、うなじが少し赤くなってるね。日焼けしちゃったみたいだな。」

言いながら快斗はペロリとオレのうなじから耳元まで舐めあげる。

その感覚に思わず肩を震わせたオレの視界に、大きな滝のようなものが見えてきた。

 

・・・げっ!!結構、傾斜角度があるじゃねーかよっっ!!これじゃ絶対ずぶ濡れだっっ!!!

 

目の前に迫り来るその滝に顔を少し引きつらせていると、快斗が耳元で息を吹きかけるように囁いた。

「・・・新一。これ、下に落ちる瞬間、写真を撮られるからな。カメラは右側!ポーズを決めろよ?」

 

なっにィィィ??? そんな余裕あるかーーーーーーーーっっ!!!

 

激流を下る瞬間、オレの目線は真下の滝壷からそらされることはなく。

オレと快斗の乗るボートはそのまま、バッシャーンと派手な音を立てて水中に勢いよく飛び込んだ。

 

確かにこれでは前の2つの席はびしょびしょである。さすがに後部座席側はそこまで濡れる事はなかったが。

それでも、オレは少しは被害を被った。

 

出口に向かう快斗の笑顔は実にさわやかなもので、

「いや〜、新一のおかげでオレは全然濡れなかったけど?」

などと、ヌケヌケと抜かしやがった。

 

おまけに。

「おい、新一。さっきのオレ達の写真、あそこにできあがってるぜ?」

そこには、激流を目の前に引きつったオレの顔と、後ろからしっかりオレに抱きついてにっこりとうれしそうに
笑いながら、Vサインまで出している快斗の姿が写ってた。

 

「オレ、この写真買うけど、新一もいる?」

「いるもんかっっ!!」

 

 

 

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