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NOVEL


BISQUE DOLL V
〜 矢車菊の青 〜

■■■  act.1  ■■■

 

 

ヤラれた。

 

 仕事上、前々からチェックしていたとある企業の電子メールを傍受したオレ怪盗キッドこと黒羽快斗は、画面に映し出された文字を見て、一瞬固まってしまった。

 ネットワーク上の通信を盗聴する事は、実はそう難しい事じゃない。

 ソレに関する知識とちょっとした専用機器さえあれば実は誰でもできてしまったりする。

 

 というわけで、これを防御するためにはメールの本文を暗号化するのが主流となっているのだが。

 どんな強度な暗号も、パスワードやパスフレーズを見つけ出すことができれば、解読は簡単。

 どこかの名探偵ではないけれど、暗号を作り出す方のプロとしては、暗号を解くことなど朝飯前なのだ。

 

 とはいえ、今はそんなことを自慢している場合じゃない。

 

 隠れ家として借りているマンションの一室。

 

 デスクに置かれたパソコンの前で、オレは小さく舌打ちをした。

 

 

 マークしていたのは、フランスにある養豚企業のアルディ・ファーム社。

 

 

 もと貴族の出であるピエール・ドゥ・アルディ氏が興した養豚業だが、無論オレが興味があるのは養豚なんかではなく。

 アルディ氏が先祖代々受け継いだとされている極上のブルーサファイアだったりする。

 

 なので、本来ならえっちらフランスくんだりまでしてその石をいただきに行く予定だったのだが。

 その必要が無くなってしまった。

 

  というのも、アルディ・ファーム社が日本のある企業に買収されたからだ。

 

 事業に失敗したアルディ・ファーム社は多額の負債を負い、会社だけでなく全ての資財を買収先に受け渡すこととなったのだ。

 

 当然、そこには例の石も含まれているワケで。

 

 買収話について、情報を事前に得ていたオレは、わざわざフランスまで足を運ばずに済んだことを、ラッキーだなんて、浮かれていたのだが。

 今まさに、頭から冷水を浴びせられたような気持ちでオレはパソコンを見つめていた。

 

「まさか、ここまでやるとはね。さすがは貴族の末裔。プライドは高いってことかな。」

 

 にしても、マズい。

 よりによって、アイツが出てくることになろうとは。

 

「さて・・・。どうしたもんかな?」

 

 ブラインドの隙間から、空に細くかかる月を見上げてオレはそうボヤいたのだった。

 

 

 

「それにしても、いきなり目暮警部を呼びつけるなんて、ずいぶん横柄な感じじゃないですか?」

 

 車の運転席でハンドルを握る高木刑事は、バックミラーへチラリと視線を送りながら、溜息まじりにそうゴチた。

 後部座席には、警視庁捜査一課の警部目暮と、その隣には毎度おなじみ日本警察の救世主、名探偵工藤新一が座っていた。

「まぁ、仕方がないだろう。日本の畜産業の最大手である立光(たてこう)フーズの社長、立光 豪(たてこうつよし)氏より、直々にお呼びがかかってはな。」

 口元に蓄えた立派なひげを撫でながら、目暮警部は腕組みをする。

 それを横目に新一が口を開く。

「立光フーズと言えば、先日、フランスのアルディ・ファーム社を買収したばかりですよね?やはり、今回の件と関係が?」

「ああ。詳しい事はわからんが、恨みを買うには充分だろう。とりあえず、何者かが立光氏のところに殺人予告めいたメールを送りつけてきたとのことだが、それに添付されていたファイルがどうも暗号文らしくてな。
申し訳ないが、工藤君にも協力を願いたい。」

 

 太めの眉をきりりと上げてそう言う目暮警部を、新一は真っ直ぐに見、にっこりと笑って頷いた。

 

 と、前方に見えてきた建物に、高木刑事が声を上げる。

 

「あ。見えてきましたよ!あれじゃないですか?立光社長の自宅・・・。うわっ!すごいなぁ。中世のお城みたいだ!」

 その声に目暮警部と新一も前を注目した。

「あれももとはアルディ・ファーム社のものだろう?

社長の亡くなった奥さんが日本人だったとかで、こっちにも家を建てたと聞いているが・・・。」

「家っていうか、あれ、どう見たってお城ですよ?そう思わない?工藤君!」

 幾分、興奮した様子で運転席から振り返る高木刑事を新一は苦笑した。

「そうですね。アルディ・ファームの社長、ピエール・ドゥ・アルディ氏はもともと貴族出身ということですから・・・。」

 それにしたってこんなお城みたいなものが、日本にあっていいのかと言いたげな視線を送っている高木刑事をよそに、3人の乗った車はご立派なその城の門を通過して行く。

 

 時刻は、夜8時を少し回ったところだった。

 

 

  自分で呼びつけた割には、ずいぶんと不機嫌そうな顔をして、立光フーズ社長・立光 豪氏は新一達3人を出迎えた。

 彼の左右に控える秘書と思しき人物達もお世辞にも愛想が良いとは言えない。

 お互いが簡単な自己紹介を済ませると、立光社長は早速本題へと入った。

 

「あちらの私の自室のパソコンに、メールが届きましてな。まぁ、単なる嫌がらせとも思えなくはなかったんですが、かなり気分の悪いもので。とにかく、見ていただきたい。」

 そう言って、3人をパソコンの前に案内すると、秘書の一人に命じて、メールの受信フォルダを開かせた。

 それを見て、新一の目が僅かに見開く。

「これ、タイトルや送信者、送信日時に中継したサーバーまで全部ヘッダに出てますね。」

「え?じゃあ、誰がこのメールを送ってきたか、バレバレじゃないの?工藤君!」

 一緒にパソコンを覗き込んだ高木刑事に、新一はそのとおりと頷いてみせる。

「・・・っていうか、この本文、もしかしてフランス語?何書いてあるか、全然読めないんだけど・・・。」

 言いながら、バツの悪そうな笑いをして見せる高木刑事に、後ろで目暮警部が咳払いを1つした。

 

「送信者は、アルディ・ファームの社長ですよ。本文はたった一言。『お前を殺す。』」

 新一がそう言うと、目暮警部の横にいた立光社長が低く唸った。

 

「買収された事の逆恨みか何か知らんが、まったくけしからん!負け犬の遠吠えだと思って、相手にするつもりもなかったが、何やらよくわからない添付ファイルもあたので、念のため警察の方々に見ていただこうと思ったまでです。フランスのパリ市警にも申し出て、即刻、こんなものを送りつけた
ヤツを逮捕してもらおうと思ったが、ヤツめ、姿をくらましたとかで・・・。」

「え?!・・・いないんですか?ピエール・ドゥ・アルディ氏が・・・。」

 高木刑事が振り返ると、忌々しそうな顔をして立光社長が頷いた。

 同じく頷いて腕組みをしていた目暮警部は、パソコンにかじりついている新一へと視線を向ける。

「で、どうかね?工藤君。添付ファイルの内容は・・・。何かわかったかね?」

 

 けれども、真剣に画面を目で追っている新一は、すぐには返事をしない。

 不審に思った高木刑事が、新一の顔を覗きこむ。

「あ、もしかして、暗号解読に少し時間かかりそう?」

 しかし、これには新一は短く、いいえと返した。

 

 そうして、目暮警部と立光社長の方へ向き直ると、新一はその瞳をやや細めて言った。

 落ち着いた口調だった。

 

「このファイルは、ある人物がアルディ氏に宛てたメールをそのまま添付したものです。」

「ある人物?誰だ?それは!?」

 

 声を荒げる立光社長を目暮警部が何とかなだめる。

 

「それで、工藤君。その人物が誰か、メールの内容もわかったのかね?」

 目暮警部の問いに、新一は黙って頷く。

 

「メールの内容は、アルディ氏からの殺人依頼を引き受けたというものです。」

「殺人の依頼だと?!だとすると、相手は殺し屋か?!」

 

 立光社長が目を剥いた。

 

「一体、アルディ氏は誰にそんな依頼をしたんだ?!」

 

 緊迫した空気が部屋に満ちる。

 

 新一は、一拍の間を置いた後、その瞳に鋭い光を宿しながらこう言った。

 

 

「ビスク・ドール」と。

 

 

 

 

 

・・・やれやれ。

立光フーズの社長も、とんでもないヤツのターゲットにされちまったもんだな。

 いやいや、まったく、お気の毒。

 

 立光社長宅に乗り込んだ名探偵達の様子を、そう遠くないところでしっかりと盗聴していたオレは、肩をすくめる。

 暗号化されたメールを、一言一句間違えることなく解読して見せた名探偵は、お見事。

 まぁ、アイツならできて当然と言えば当然だけどね。

 

 とにもかくにも、一般人には聞きなれないその『ビスク・ドール』という殺し屋の名前(正確に言えば、コードネームだが)の説明を、今は警部達が求められているところで。

 

 『ビスク・ドール』と言えば、殺し屋としてはトップクラスで世界的に有名な大悪党だ。

 事実を知ったら、あのふてぶてしい社長でも卒倒するに違いない。

 

 とは、言うものの。

 

 かく言うオレも、実は人事ではなかったり。

 何しろ、オレはビスク・ドールとは面識がある。

 

 面識があるだけならいいが、何やら因縁もつけられていたりと、あまりいい間柄ではない。

 最初の出会いから数えて、奴とは過去3回程やりあってはいるが、どれもこれもかなりヤバかった。

 何だか知らないが、オレを自分の相棒に引き入れようと、毎度姑息な手段を使っては、オレを窮地に陥れる。

 しかも、オレだけならいいが、名探偵にまで手を出す事を覚えて始末に終えない。

 なので、できることなら関わりたくない気持ちでいっぱいなのだが。

 

 仕事が絡んじゃ、そうも言ってられないか。

 

 そう思ってるオレの足元を、名探偵を乗せた車が通り過ぎていく。

 どうやら、今日のところは大人しく引き上げるらしい。

 立光社長宅から、真っ直ぐ警視庁へ向うであろうその車を、オレは白い翼を広げて追った。

 

 

  

 早速、設けられた対策会議にでも顔を付き合わせているのか、名探偵が警視庁の門を出てきたのは、日付が変わる頃。

 オレは入り口に車を回して、警察官ルックでお出迎え。

 

「お疲れ様です。目暮警部よりご自宅までお送りするようにと。」

 言いながら、ビシっと敬礼してやると、名探偵は眉間にしわを作って、イヤそうにオレを見つめた。

 

 あ。やっぱバレた?

 

 ニヤリと笑って、帽子のツバを上げる。

 本当は素顔だけど、向こうはそうは思っていないこの顔を見せてやると、ますます眉間にしわがよる。

 

 おいおい、何もそんな顔しなくても。

 

 オレはにっこり笑ってやる。

 

「お久しぶり。名探偵。」

「・・・てめぇ、何しに来やがった?!」

 うわぁ。相変わらずすごい警戒心。

「まぁ、とりあえず家まで送ってあげるよ。少し話もあるしね。」

 

 言いながら、オレが後ろのドアを開けてやると、名探偵はしぶしぶ乗り込んだ。

 運転席に回ると、静かにアクセルを踏む。

 

 対向車もいないガラ空きの道を車は滑り出して、しばらく。

 

 バックミラーで後ろを確認すると、名探偵が腕組みオレを睨みつけている。

 

「・・・キッド。お前、一体何の用だ?ビスク・ドールが出てきたからか?」

「それもあるけどね。オレも仕事。」

 

 ハンドルを握りながら、オレは視線をミラーから前方の信号へ移す。

 ちょうど黄色から赤に変わるところだった。

 車が停まるのを待って、名探偵が聞き返す。

 

「・・・仕事?」

「そう。仕事。」

 オレは前を向いたまま、応えた。

 

 

「名探偵、『矢車菊の青』って、知ってる?」

「『矢車菊』?それって、一般的には『矢車草』って言われてるヤツのことか?」

「そうそう。けど、本当の『矢車草』とはまったくの別物なんだよね。」

「知ってる。『矢車菊』って、古代エジプトのツタンカーメンの墓から発見されたとかいう由緒ある花だろ。それがどうした?」

 

 ご立派。さすがは博識だね。

 

「極上のブルーサファイアとは、『矢車菊の青』に喩えられる。繊細な薄いシルクのレースをかけたような、柔らかな少し紫がかった濃いブルーでね。このサファイアはヒマラヤのカシミール地方で産出されたことから、
『カシミアン・ブルー』とも呼ばれてるけど。」

 オレの話を、名探偵はただじっと黙って聞いている。

 その顔はすっかり探偵モードだ。

 オレはニヤリとし、話を続けた。

「その最高級のサファイアは、もう掘りつくされちゃってね。今じゃ、アンティーク・オークションでしか見かけられない希少価値の高い石なワケだ。」

 すると、後ろで名探偵が小さく鼻を鳴らした。

「それが、次のお前の獲物ってことか。」

 当たり。

「その極上のサファイアを先祖代々所有してたのが、フランスのもと貴族、ピエール・ドゥ・アルディ氏だったんだけど。」

 と、オレがここまで言った時、名探偵の蒼い目が見開かれる。

 

「おいっ!お前・・・っ!」

「そう。ご存知、アルディ氏は会社も資財も全部、立光に取られちゃっただろう?」

 

 信号が青に変わる。

 再び車を発進させながら、オレは名探偵を振り返った。

 

 胸元から、白い封筒を取り出す。

 

「・・・と、いうワケで、これ予告状。」

「なっ、何ィィィ?!」

 

 オレから予告状を奪い取って、名探偵が叫ぶ。

 

「お前、今の状況をわかって言ってんのか?!」

 ついでに後ろから、身を乗り出してそう言うが。

 

 仕方ないだろ。オレだって、今回の事は予想外だったんだよ。

 

「あのブルーサファイアは前々から狙ってたんだよ。買収話までは知ってたが、まさか、もとの持ち主が殺人の依頼をするとまでは、さすがのオレも予測できなくてね。」

 オレは少し唇を尖らした。

 名探偵はボスンと後ろのソファに寄りかかる。

 バカじゃねーのという、台詞のおまけ付きでだ。

 

「ビスク・ドールが来るところに、わざわざ自分から乗り込んでいく気かよ?
アイツ相手にタダでは済まないだろ?!」

 それはそうなんだが。

 すっかりおかんむり状態な名探偵を盗み見し、少しはオレの心配をしてくれているのかと、ちょっとうれしくもあったり。

 

 ニヤニヤしながら、話題の転換を図る。

 

「なぁ、名探偵。資財を全部受け渡さなきゃならないようなアルディ氏が、ビスク・ドール程の殺し屋にどうやって依頼をすると思う?その報酬は?」

 オレのその言葉を聞いて、名探偵があっと小さく声をあげた。

「ま、立光から金を取るのも1つの方法だけどね。オレが思うにヤツの報酬は・・・。」

 そこまで言って振り向くと、名探偵が真っ直ぐオレを見据えた。

「ブルーサファイアか。」

 そんな名探偵を見、オレは唇の端をつり上げた。

「そ。ヤツに奪われる前に、オレがいただかないと。」

 

 オレの言葉に、名探偵は盛大に溜息をついた。

 

「・・・で?話っていうのは?わざわざ、そんな宣言をしに来たのか?」

「いや、それもあるけど・・・。」

 

 オレはゆるりとハンドルを滑らせ、カーブを曲がる。

 珍しく出会った対向車のアップめのライトが、オレの顔を僅かに照らした。

 眩しさに、少しだけ目を細める。

 

「今回の件、できれば名探偵には手を引いてもらえるとありがたいと思ってね。」

 前を向いたまま、オレがそう告げると、後ろで息を呑む音が聞こえた。

 

「・・・な・・・んだとっっ!?」

「オレも仕事に集中したいんでね。」

 さらりと返すと、ソファを叩いて名探偵が反論する。

「フザけるな!オレだって、仕事だ!相手がビスク・ドールだろうが、一度引き受けた依頼をそう簡単に降りられるか!!」

 

 ・・・ああ、やっぱり?

 そう言うとは思ったんだけどね。

 

 予想通りの反応にオレが苦笑していると、逆に切り返された。

 

「お前こそ、今回は諦めたらどうなんだ?!」

「ヤだね。」

 ギリギリと睨みつける名探偵に、オレは即答する。

 

「言ったろう?あの石は前から目をつけてたオレの獲物だ。アイツの手に渡ってからじゃ、厄介だからね。何としても、先にいただく。」

「・・・勝手にしろ。オレも勝手にする。降りる気はないからな!」

 言いながら、名探偵がフンとソッポを向く。

 何とも子供らしい可愛らしい仕草だ。

 オレは口元だけでクスリと笑った。

 

 さて、名探偵の家は、もうすぐそこだ。

 と、窓へ向いていた名探偵の顔がまた前に戻ってくる。

 

「・・・大体、ビスク・ドールが執着してるのはキッド、お前だろう?オレなんかよりお前の方がやばいぞ?アイツが何も仕掛けてこないワケがない。」

 

 それは確かに。

 

 そう思いながら、見慣れた洋館の前で、オレは静かにブレーキを踏んだ。

 にっこり後ろを振り返る。

 名探偵と目が合った。

 

「・・・話がまだあるなら、家で聞いてやる。」

 うれしい申し出だが、オレは首を横に振った。

「隣のお嬢さんがコワイんでね。今夜はご遠慮するよ。」

 オレがそう言うと、名探偵はそうかと短く言って、自らドアを開けて、車を降り立った。

「じゃあ、おやすみ。」

 運転席越しからそう微笑んでやると、名探偵は僅かにその細い眉を寄せる。

 

 どうやら、まだ何か言い足らないらしい。

 

「・・・何?」

 にっこり聞き返してやると、いたって真剣な声が返ってきた。

「・・・お前、どうする気だ?」

 

 ふーん?気になる?オレのこと。

 オレは、にんまりした。

 名探偵に、気がかりにしてもらえているとは、何とも気分がいい。

 

 じっとこっちを見つめる名探偵の瞳を、黙って見つめ返した。

 

 そして。

 

「オレは、オレの仕事をするだけだよ。」

 

 それだけ言って、車を発進させたのだった。

 

 

 

  一人で軽快に車を転がしながら、バックミラーで後ろを確認する。

 さっきまで、後部座席にいた名探偵の姿はない。

 そのガランとした空間を見つめながら、オレは小さく溜息を漏らした。

 

 忠告なんぞしたところで、あの名探偵が大人しく聞きっこない事くらい、百も承知。

 何ならいっそのこと、当日、クスリでも盛って、実力行使に出てやるつもりでいたけど・・・。

 

 やっぱり、気が変わった。

 本人もあんなにヤル気満々のようだし、今回は好きにさせてやろう。

 

 ・・・なんて。

 危険な目に合わせるだろうことがわかっていながら、それでも現場で会いたいなんて思ってるオレは、どこかイカレてるかもしれないが。

 

 けど、仕方ない。

 

 名探偵と一緒にいたい。

 この気持ちは譲れない。

 名探偵の身の安全より、自分の気持ちを優先するあたり、オレもかなり勝手だとは思うけど。

 

 

 悪いね、名探偵。

 オレは、自分勝手な生き物なんだよ。

 

 To be continued

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