行方不明だった公安職員・伊藤満さん(仮名)の遺体が発見されてから、3日が過ぎた。
その間、公安の動きに特段、目立ったものはない。
潜入捜査という職務半ばにして命を絶った伊藤さんの代わりの職員は、
まだゴールドウェルに送り込まれた形跡はなかったし、自殺と断定された伊藤さんの死に関して、公安が疑問を抱いて独自に調査をしているなんてこともなかった。
ただ、注意しておくべきことはある。
それは伊藤さんの死に少なからず関わったと見られる“朝比奈ゆりあ”という女性の存在について、公安がマークし、彼女の動きを追っていたことだ。
───だが。
「今度は“朝比奈ゆりあ”も行方不明ね・・・。」
ソファにふんぞり返ってそう言ったのは、オレの前でのうのうと素顔をさらしている怪盗だった。
日が落ちて、窓の外は既に暗い。
マンションの最上階であるキッドの部屋からは、ちょっとした夜景が広がっていた。
生活感のない殺風景な部屋のせいか、眼下の明かりが妙に眩しく目に映る。
オレはそんな景色を見やった後、キッドを振り返った。
「彼女が意図的に姿を消したか、それとも何か事件に巻き込まれたか・・・。」
オレの台詞に、キッドはふむと頷いてからニヤリとする。
「まぁでも素直に彼女に接触できないとなると、疑いの線は濃くなったわけだ。」
確かにそのとおりだった。
彼女の所在がつかめないということは、いくつかの事件の可能性があるからだ。
仮に彼女が意図的に姿を消したというのなら、理由は2つしかない。
もうゴールドウェルに居る必要がなくなったか、もしくは居ては都合が悪いかのどちらか。
どちらにしても、公安職員の伊藤さんの死に関わっていたと予想できる。
この場合、彼女の目的は伊藤さんの排除であったと考えていい。
それが彼女個人の意志によるものなのか、もしくは社長の元愛人というだけに社長の指示だったのか、それとも───。
逆に彼女が自分で姿をくらましたのではなく、何者かに拉致・監禁されているのだとしたら、その犯人こそが伊藤さんの死にも関わりがあると言える。
だが、彼女の失踪が意図的なものであるかないかは、この際さておき。
今、この状況下で間違いなく言えることは、“朝比奈ゆりあ”という人物は直接的、あるいは間接的に例の組織と接触している可能性が高いということだ。
もちろん、それはゴールドウェルと例の組織が何らかの関係を持っていると仮定した場合においてだが。
「今夜、お前の誘いに応じるのが、彼女ならいいけどな。」
オレは唇の端を持ち上げた。
と、キッドも笑う。
「そうなると話は早いね。にしても、前回オレを襲ってくれたのが、この美人だったとしたら、ヘタに反撃しなくて正解だったかな。顔にキズでもつけたら大変だ。」
「・・・へぇ?まるで相手が女性だったから、手加減してやったとでも言いたげな口調だな。」
「“怪盗キッド”は紳士なんでね。」
にっこり笑う怪盗の真意は、オレの知るところではない。
「・・・・・・・・勝手に言ってろ。」
オレは吐き捨てるように言うと、キッドはあははと小さく笑った。
それから、音もなくヤツがソファから立ち上がる。
「───さてと。じゃあ、ボチボチ。」
「行くのか?」
「呼び出しておいて、遅刻するわけにはいかないからね。」
ウインク一つそう返すキッドは、まるでデートにでも行くノリだが。
オレは溜息を零すと、ヤツに続いて部屋を出たのだった。
□□□ □□□ □□□
キッドはのんびりとしか言いようのない足取りで、目的地へたどり着いた。
ゴールドウェル本社、屋上。
すなわち、キッドが指定した場所だ。
軽やかに宙を舞うグライダーを使わずにいたのは、一緒についてきたオレに気を使ったのかどうか、定かではないが。
今、オレの横には白い怪盗が闇をバックに悠然と立っている。
思い出したようにオレは隣を見た。
「───そういや、前回、お前を襲ったのは一人だったのか?」
「いや、全部で7、8人だったかな。全員黒尽くめ。」
それを聞いて、オレはまた前を向いた。
今回、キッドが宝石をすぐに返却しなかったのは、『パンドラ』なのかもしれないという思わせぶりな態度を相手に対して取るためだ。
もちろん、その相手とは『パンドラ』を狙う例の組織。
いや、仮に組織の連中でなかったとしても、石を狙う者にとっては取引するには十分に有効な手だと言える。
「・・・ってことは、少なくとも8人以上とやり合う可能性があるってことか。」
「まぁそういうことなんで、こっちも2人で多少、卑怯かもしれないけど、そこは大目に見てもらおう。」
「バ─ロ─。相手が相手なんだ。卑怯も何もあるか。」
オレの言葉にキッドが鼻で笑った瞬間だった。
オレとキッドの間を裂くように、ビシっという音と同時にコンクリートに穴が開いた。
見ると銃弾がめり込んでいる。
───どこから?
一瞬にして、緊張感が走った。
だが、オレが辺りを見渡すよりも早く、その人物は姿を現した。
黒尽くめの格好でオレ達に銃を向けていたのは、一人の女性だった。
「やっぱりね。」
しみじみという口調で、キッドは一つ頷いた。
ヤツが“やっぱり”と言ったのは、今、オレ達の目の前に現れた黒尽くめの人物が、“朝比奈ゆりあ”という女性だったからだ。
彼女がここにこうして現れてくれたということは、例の組織と接点が持てた可能性は高い。
オレは、ちょっとした高揚感を覚えていた。
それは、もしかして組織に近づけるかもしれないという期待だった。
黒尽くめの美人は、こちらを見るや否や、眉間にしわを寄せた。
「怪盗キッドに仲間がいたなんて、聞いてないわよ?」
───心外だ。キッドの仲間呼ばわりされるとは。
明らかにむっとしたオレの横で、キッドはさらりと言う。
「私もそんなことを言った覚えはないですが。」
いつもの紳士口調だ。
「ふざけないで!だったら、そっちは誰なの?!」
銃口がオレを向いた。
キッドもオレを向く。
「彼は私の仲間と言うよりは、どちらかと言うと敵と言った方が相応しいような。」
・・・あのな。どちらかと言わなくたって、そうなんだよ。
言葉遊びのようなキッドの台詞は、当然、彼女に理解できるはずはなく。
オレは仕方なしに一歩前へ踏み出した。
「───工藤新一。 探偵です。」
そう名乗って。
□□□ □□□ □□□
「・・・探偵?!」
彼女の目が大きく見開いた。
「怪盗と探偵がどうして一緒にいるの?!」
・・・・・ははは。 確かにそのとおり。フツ─は、一緒いるわけねーよな・・・。
隣の怪盗はと言うと、大げさに両手を広げて見せて、
「さて、どうしてでしょう?」
などと言っている。相変わらずフザケたヤツだ。
黒尽くめの女性は銃口をこちらに向けながら、青筋を立てている。
相当に怒っているようだ。
無駄に銃弾を打ち込まれるのも困るので、オレはこれ以上キッドが彼女の怒りの炎に油を注がない内に話題を転換することにした。
「失礼ですが、“朝比奈ゆりあ”さんですね?先日、亡くなった伊藤満さんの件でいくつかお伺いしたいのですが。」
すると、赤い口紅を塗った唇が笑いを象った。
「あら、彼は自殺したんでしょ?私は何もしてないわよ?」
「ええ、確かに自殺のようです。自筆の遺書まで発見されましたしね。」
遺書の中身まで彼女が知る由もない。
だが、オレが遺書のことを口に出しただけで、彼女はそこに何が書かれているか悟ったようだった。
「バカな男。自分から勝手に死んでくれて、こっちも手間が省けたわ。」
「では、やはり最初から、伊藤さんが公安職員だという正体を知っていて近づいたんですね。」
彼女はそれを肯定するように微笑む。
オレは続けた。
「貴方はゴールドウェル社長とも関係を持っている。伊藤さんに近づいたのは、社長の指示だったんですか?あるいは、社長に接触したのも貴方の計画の内かもしれませんが。」
キッドは、オレの横でただ黙然と黒尽くめの女性を見つめていた。
彼女は銃口と自分の口元に持って行くと、少し考えに耽るような仕草を見せた。
それからその瞳をキッドへと向ける。
「・・・もしかして、この探偵さんを使って私のことを調べたわけ?」
問い詰めるような声の彼女に、キッドはええ、まぁと適当な相槌を打つ。
「私も怪盗という立場上、多忙を極めておりますもので。今回は優秀な探偵のお力を少々拝借しております。」
おい、こら。
「勝手に依頼したことにするな!」
「まぁ、細かい事は気にせずに。それとも、名探偵は依頼人を選ぶのかな?」
「当然だ!」
「何故?」
「オメーみたいなタチの悪いのがいるからだっ!」
「やれやれ。」
言いながら大げさに溜息をついた怪盗は、逸れてしまった話を修正すべく彼女へ視線を向けた。
「ところで、こちらの質問の続きですが。貴方ほどの美貌を持ってすれば、二人の男性を手玉に取る事など造作もなかったでしょうが、一体何の為に?宝石を奪取するだけならそんな必要はないはず。」
キッドの右目のモノクルが月光に反射する。
口元にいつもの笑みを貼りつけたまま、今度はキッドが彼女へ問いただした。
すると、彼女は綺麗に微笑んだ。
「そういうことは依頼人に言ってくれないかしら?」
「「依頼人?!」」
オレとキッドの声が重なった。
では、やはり彼女は誰かの指示で動いていた。
もしかして、それは───。
一気に彼女に真相を問い詰めたい衝動に駆られたが、何とかオレはそれを押しとどめた。
黒い手袋をした彼女の右手の指が銃をくるくると器用に回す。
「でも、残念。“怪盗キッド”ほどじゃないけど、“Y.A”って言えば、ちょっとは名の知れた悪党のつもりだったんだけど。」
「・・・悪党。」
オレの隣の怪盗は、ちょっと驚いたような声を出した。
「知らなかったのか?」
オレが横を向いて訊ねると、
「全く。」
と、キッドは返した。
ウソではないようだ。
オレとキッドのやり取りに少し心外そうにした彼女は、その『悪党』の仕事振りについて説明してくれた。
要するにそれは、依頼を請け負えば泥棒でも殺しでもなんでもするというものだった。
「今回、貴方の依頼人というのは、ゴールドウェルの密輸に関して深く関わりのある組織ではないですか?貴方の仕事は、ゴールドウェルに潜入して、滞りなく密輸ができるよううまく立ち回ることだった・・・。当然、公安の潜入捜査も邪魔だったというわけだ。」
オレがそう言うと、彼女はそのとおりだと頷いた。
すると、キッドも軽やかに一歩前へ踏み出す。
「それとは別に、貴方の請け負った依頼の中に例の宝石の奪取もあったわけですね。確か、前回お会いした時は、貴方の他にもたくさん応援の方がいたはずですが、今回は何故、お一人で?」
それには彼女は赤い唇を持ち上げると、こう応えた。
「その宝石を、私も欲しくなってしまったからよ。」
□□□ □□□ □□□
「依頼人を出し抜いてでも?」
僅かな沈黙を置いて、キッドは平然と言う。
その問いに対して、彼女は頷いて見せた。
そして、再び銃を構えると、真っ直ぐに銃口をキッドへと向けた。
「どうしてもその石が欲しいの。だから頂戴。素直に渡してくれないのなら・・・」
「いいですよ。」
事も無げにキッドは告げる。
・・・いいのかよ?!
オレは隣の怪盗と見たが、ヤツは涼しい顔のままだった。
そして、いつのまにやらヤツのシルクの手袋の中にはグリーンに輝く石が。
キッドが奪ったというエメラルドの宝石だ。
キッドはその石を月光に翳しながら、彼女へ言った。
「確かに見事なエメラルドだ。しかし、大切な依頼人を無視してしまっては、貴方の命に関わる事になりかねないと思いますが。」
「構わないわ。」
なるほどとキッドは頷くと、唐突にエメラルドを放つ。
輝く宝石は満足そうに微笑む彼女の手の中に吸い込まれていった。
キッドはそれを黙って見届けてから、再び口を開いた。
「ところで、そこまでこの石にこだわる理由をぜひ聞かせて頂きたいのですが。」
いとも簡単に目的の石を手に入れることのできた彼女は、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「いいわ。石をくれたお礼に教えてあげる。依頼人から聞いたのよ。これはただのエメラルドじゃなく、『パンドラ』という命の石だっていうことを!」
いや、あの石は『パンドラ』じゃない。
だが、『パンドラ』という石の存在を知っていると言う事は、彼女の依頼人はもう間違いなく奴らだ!
「ビンゴ☆」
キッドもオレを向いてウインクした。
「いいのかしら?」
彼女が言った。
「何がですか?」
怪盗が聞いた。
「依頼人からは、怪盗キッドも『パンドラ』を狙っていると聞いていたけど。」
「良くご存知で。」
「いいのかしら?」
彼女はもう一度言った。
「だって、この『パンドラ』は死者をも甦らせる奇跡の石なんでしょう?」
これには、さすがの怪盗も首を傾げた。
───死者を甦らせる?!
『パンドラ』は、不老不死、つまり永遠の命を与える石だとは、キッドから聞いたことがあったが。
確かにそれだって、かなり信じ難い話だ。
だが、死んだ者まで生き返らせるなんて、ずいぶん話が飛躍してねーか?!
オレはキッドへ目をやった。
「・・・おい、本当なのか?」
「いや、初耳。」
キッドは首を振った。それから、「でも」と付け足す。
「もともと夢みたいな話だからねぇ?」
う─んと怪盗は唸った。
「どういうこと?!この石で死者を甦らせることができるんじゃないの?!」
エメラルドを握り締めたまま、彼女が叫んだ。
キッドは小首を傾げる。
「さぁ?さすがにそればかりは試してみないと何とも。あ、言いそびれましたが、貴方が今、お持ちの石は『パンドラ』ではありませんので。」
「何ですって?!」
彼女は絶望したような表情を作った。
と、同時に彼女の胸が一瞬にして朱に染まった。
撃たれたのだ。
「狙撃───?!」
「伏せろ!」
オレが声を上げたのと同時に、キッドも叫んでいた。
キッドは白いマントを翻して宙を舞い、すぐさま攻撃体勢を作る。
オレは低い姿勢を作って、鮮血を吹き出して倒れている彼女の傍へ駆け寄った。
・・・・・ダメだっっ!
急所をやられてる。即死だ。
オレは唇を噛んで、携帯電話を取り出した。
その間も、オレ達のいる屋上へは攻撃が続いていた。
容赦なく撃ち込まれる銃弾がコンクリートをめくっていく。
キッドはそれを紙一重にかわしながら、上手くオレと朝比奈さんがいるところまで転がり込んできた。
応戦しようにも、向こうがこう遠くては打つ手がない。
「3方向から囲まれてる。おまけに良い狙撃手だ。彼女の状態は?!」
オレは黙ったまま、首を振った。
キットはそうか、と短く言った。
「このままだとオレ達も蜂の巣なんだけど、どうする?」
構えても仕方がないトランプ銃を構えて、キッドが敵の潜む闇を見つめた。
「今、警察と救急車を匿名で呼んだ。じきに到着するはずだ。」
「遠方からのプロの狙撃手相手じゃ、逃げるのが精一杯か。さすがに追跡は難しいなぁ。」
「仕方ない。今日のところは諦めるしかないな。彼女の事もあるし。」
キッドは何も言わずに、まだ闇を見つめている。
せっかく組織の連中と接触できる機会だったが、こうなってしまってはもうどうしようもない。
ここで無理に動く事が得策でない事は、オレもキッドも十分わかっていた。
しばらくして、遠くでサイレンの音が聞こえた。
救急車とパトカーがこちらに向かっているのだ。
だらりと垂れた彼女の右手には、まだエメラルドが握られていた。
銃撃が止んだ。
狙撃された時間はそう長くはなかった。
今夜の奴らの狙いはキッドやオレではなく、“朝比奈ゆりあ”さんだったのだろう。
彼女の裏切り行為への報復か、それとも組織の情報を漏らさないためか。
「静かになったな。どうやら見逃してくれたらしい。」
キッドはトランプ銃を懐に仕舞いながら、立ち上がった。
建物の下が俄かに騒がしくなってきていた。
救急隊と警察が到着したのだろう。
「さて、名探偵。」
声をかけられて、おれはキッドを向いた。
「オレはそろそろ退散するけど、名探偵はどうする?警察に事情を説明するか?」
「───いや。この状況じゃ、彼女と組織を結びつける証拠なんてどこにもないからな。ここは警察に任せるしかない。いずれにしろ公安の調査も続いているんだ。ゴールドウェルの密輸については、遅かれ早かれ捜査のメスが入るだろう。」
オレも倒れたままの彼女を残し、その場を立ち上った。
キッドはオレの言葉にふむと頷き、それから重苦しそうに息をついた。
「やれやれ。人1人死んで得た物が何も無しとは、何とも不甲斐ないね。」
「全くだ。」
悔しかった。
組織との接触の機会が、彼女の死という最悪な形であっけなく断たれてしまった事が。
奴らのやり方は十分に知っていたはずなのに。
拳を握り締めたオレの肩を、キッドがぽんと軽く叩いた。
「じゃ、行くか。」
と同時に、大きな白い翼が闇夜に現れる。
「依頼料の代わりに、自宅までお送りしましょう。」
・・・だから、オレはお前の依頼なんか受けた覚えはないってのに!
優雅にお辞儀などして見せる怪盗に、オレは一瞥をくれてやる。
キッドの世話になるのは不本意だったが、もう地上から脱出するのは不可能だ。
ここはコイツの翼に頼る他なかった。
「落とすなよ?」
「もちろん。」
白い怪盗の腕がオレの体を支え、それからオレとキッドは屋上から飛び立った。
エメラルドを握る女性を1人残して。
□□□ □□□ □□□
数日後。
ゴールドウェルに検察の強制捜査が入った。
“朝比奈ゆりあ”という女性の死については、警察も彼女を殺害した犯人の行方を追っているものの、依然、その足取りは掴めてはいない。
結局、肝心なところは闇の中だった。
「つまり、ゴールドウェルの密輸に加担していたのは、“彼ら”だったのね?」
阿笠邸。
新聞を片手にコーヒーを飲むオレに、灰原が冷静に言った。
ああ、とオレは小さく頷いた。
灰原が冷ややかな目線を送る。
「・・・・生きて帰ってこれたことに感謝するのね。」
「そうだな。」
とだけ言って、オレは口をつぐんだ。
さらに数日後。
オレは、例のキッドの隠れ家に足を運んでみたが、そこは既にもぬけのカラで。
「・・・やっぱりそんなことだろうと思ったけどよ。」
そう呟くと、主の居ないその部屋を後にした。
ふと、思い出したのはゴールドウェルの屋上から退散する際、飛行中にヤツが言った言葉。
“『パンドラ』って死者も甦らせるのかな?”
“何だよ?だったら、欲しいのか?”
”そうだね。ちょっと魅力的だね。”
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2005.11.15
やっとこのシリーズ終わりました。
しかも、長っっっ!
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